fc2ブログ

市原市監査委員が財政援助先団体について経理紊乱の監査報告

 千葉日報サイトは2月16日に「市原市観光協会で700万円使途不明 23年、不適切な会計処理 市、実態解明へ調査チーム」を掲出し、市原市の「市原市観光協会」で2023年、不適切な会計処理で約700万円の使途不明金が生じていたことが16日、市への取材で分かったと報じる。同協会の収益の9割以上は市の補助金と委託料で、市は調査チームを設置して実態を調べると記事は伝える。
 記事は「市監査委員会の報告書によると、22年度決算上は現金の期末残高として847万円が計上されていたが、事務局で現金出納帳の作成が行われておらず、現金の入出金、残高の管理もされていなかった。」としているが、記事中、「監査委員会」は「監査委員」の誤り。記事によると、「23年9月時点の現金残高は100万円に満たず、報告書は「23年3月末時点で帳簿上の現金が存在しないことを認識しながらも、実態と乖離(かいり)した決算書を作成し、約700万円を過大計上していたと推定される」としている。他にも決算書に記載誤りや金額の不一致などずさんな管理があった。市は今月中に調査チームを立ち上げ実態と原因を調べ、9月をめどに最終結果をまとめる予定。」としているが、市原市監査委員の報告は12月15日付けで公表されている。おそらく記者発表もしないまま、執行側からメディアに漏らされたのだろう。それ故の「監査委員会」扱いのように思える。

財産区の監査の事例

 信州WEB NEWSは1月31日に「上田市 武石財産区 3年分の消費税370万円余 納付せず」を掲出し、上田市にある武石財産区が、間伐材などを販売した売り上げに伴う3年分の消費税、合わせて370万円余りを納めていなかったと報じる。記事によると、去年8月、インボイス制度の導入に伴い、上田市の監査委員からの求めで消費税の申告状況について確認したところ、令和2年度から売り上げに伴う消費税の申告や納税が必要だったことが分かったとの由。
 本件について東信ジャーナルは2月2日に「上田市が「上田市武石財産区で消費税未申告」。延滞税を納入、無申告加算税の納入予定を発表。武石財産区では再発防止に取り組むとして陳謝。」という記事を掲出している。

 つまり、上田市監査委員が監査で発掘した異状を、上田市が修復措置を講じようとしているとのことらしい。

【報告区分】佐賀県監査委員の報告は「重要な指摘事項」など3区分

 佐賀新聞サイトは2月8日に「佐賀県監査委員「重要指摘2件」 補助金交付団体などへの監査結果、知事や県議会議長らに報告」〔大田浩司〕を掲出し、佐賀県監査委員が7日、県が補助金を交付する団体などを対象にした監査報告書で、過大に補助金を交付、受領していた2件を「重要な指摘事項」とし、山口祥義知事や大場芳博県議会議長らに報告書を提出したと報じている。記事によると、重要な指摘事項2件は、医療機器や建物などを補助する「回復期機能病床整備事業費補助金」で、2021年度、佐賀市の医療法人が補助対象にならない外構工事費1366万円を補助対象の経費として算入し、過大に受領していたとして実績報告が不適正と指摘したとのこと。この補助金額を確定し、交付した県医務課も事務に関し不適正とされたとも。県監査委員事務局は「すぐ分かるミスであり、チェックが必要な部分。金額の多さ、責任の重大性から重要な指摘事項とした」と説明したと記事は伝える。

 記事が伝える監査報告は令和5年度財政的援助団体等監査結果報告書であり、「重要な指摘事項」が2件記載されているほか、「その他指摘事項」33件と「検討事項」3件が記載されている。もっとも「その他指摘事項」は「補助金等を過大に受給しているもの(2件)」などと記載されているだけで、異状特定性は希薄である。報告区分は次のように説明している。

重要な指摘事項 ... 違法又は不当な事項で、誤りの程度が重大なもの又は著しく妥当性を欠くもの等、一般に公表することが相当と認められるもの。
その他指摘事項 ... 違法又は不当な事項で、重要な指摘事項には該当しないが、一般に公表することが相当と認められるもの。
検 討 事 項 ... 指摘事項には該当しないが、検討を要する事項で、一般に公表することが相当と認められるもの。


 なお、上記の記事は、同日、風水害の防災資機材の管理状況に関して18機関を対象とした行政監査結果報告書を知事らに提出したとも伝える。記事によると、「全般的には適切に管理が行われている」とする結果を述べた上で、「資機材の備蓄数量が基準を下回る水防倉庫があった」「被災者の日常生活に必要となる物資購入や保管、管理について手続きを簡素化した方がいい」などの意見を添えた、とも伝えている。

検査官候補者に対する国会の質疑応答

 会計検査院の意思決定機関は検査官会議で、これを構成する3人の検査官は、「両議院の同意を経て、内閣がこれを任命する」(会計検査院法第4条第1項)ことになっている。前任検査官が1月に定年退官することから、その在任期を務める候補者として内閣は昨年10月25日に候補者を衆参両院の議院運営委員会理事会に提示した。これを受けて、衆議院参議院の議院運営委員会は昨年10月27日に、内閣から提案された検査官候補者に対する質疑を行った。印象的なのは、衆議院において「参考人は、事務総局の職員として長年勤務してきたという中で、業務の現場を熟知されているものと思います。これまでの経験を踏まえて、会計検査院における現在の課題はどこにあるとお考えでしょうか。見解をお伺いしたいと思います。と問われた際の候補者の説明と、参議院において「まず、長い間御活躍をいただきましたこの会計検査院での仕事でありますけれども、一番大事なことは何なのかというふうにお考えなのかということと、また、これまで信条にされてきたこと、あるいは誇りを持っていらっしゃること、その辺りをまず忌憚なく伺えればと思います。」と問われた際の説明(追記参照)。
 その後、衆議院は昨年11月14日の本会議で、参議院は昨年11月17日の本会議で、それぞれ賛成多数で同意することを決定した。
 そして、前任検査官の退官を受けて、内閣は1月9日に原田祐平検査官を任命した。

続きを読む

会計検査院が1月に2件の監査結果を発表

 会計検査院は、決算検査報告に異状を記載するほかに、監査対象に対して直接に意見を表示したり具体的な是正改善を求めたりすることで、発掘した異状を公表している。前者の決算検査結果は毎年、晩秋に取りまとめられ、後者も決算検査報告を取りまとめる過程で内部で審議することが多いため、1月2月に監査結果が公表されることは少ないが、今年は1月中旬に次の2件の監査結果が公表されている。
・令和6年1月17日付け 公営住宅における高額所得者等に対する明渡しの促進等の措置の実施について
・令和6年1月16日付け 高齢者保健事業と介護予防等との一体的な実施に係る特別調整交付金の交付額の算定について

首長が財政援助先の団体の長でもある場合の双方代理の指摘

 NHKサイトは1月12日に「山形 NEWS WEB」として「米沢市の観光団体への負担金 住民監査請求の一部認め対策勧告」を掲出し、米沢市が今年度までに市内の観光事業に取り組む団体に支払った負担金が、民法の規定に違反するとして市民から住民監査請求が出され、市の監査委員が請求の一部を認め、市に対策を講じるよう勧告したと報じる。12日に米沢市が会見を開いて明らかにしたと記事は報じる。米沢市によると、昨年度と今年度、市から観光事業に取り組む団体「米沢観光推進機構」に支払ったあわせて1億3100万円の負担金が民法の規定に違反すると、去年11月、市民から住民監査請求が出されたとのこと。この団体は米沢市の市長が会長を務めており、負担金を支払う側と受け取る側の代表者が同じであることが、民法の規定に違反し利益相反行為にあたるとしているとか。

 上記の米沢市監査委員の監査報告は公式サイトに掲出されており、そこでは、平成16年7月13日最高裁判決で民法第108条の類推適用と議会の議決による追認が求められているとしている。
 ちなみに、神奈川県の平成25年度包括外部監査では次のような指摘があった(その対応策の検討文書)。

県知事が代表を務める法人との双方代理の問題
【指摘】
 警友会の代表者は県知事であり、県の代表者である県知事と同一である。このことは、双方代理を禁止した民法第108条に抵触する。
 また、民法第108条に反して締結された契約は、当事者が追認すれば有効となるものの、この契約変更については、県議会での議決が行われていない。


【報告拝見】滋賀県監査委員は原因の記載には熱心でない

 滋賀県監査委員が昨年12月1日付けで公表した監査報告は、総務省案の報告基準を採用した滋賀県監査基準第17条第2項に従って、次のように「5 監査結果」を記載しており、YAに分類されている

 1から4までの記載事項のとおり監査した限り、重要な点において、監査の対象となった事務が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織および運営の合理化に努めていることが認められた。
 なお、一部において次のとおり是正または改善すべき事項が認められたので指摘する。


 上記文章に引き続いて異状を2件報告しているが、その一つは次のように記載されている。

 児童扶養手当に係る振込資金について、金融機関から返還の必要が生じたため、資金前渡職員口座で受け入れた後、速やかに行うべき戻入手続を怠ったことにより、会計年度を超えて長期にわたり口座に保管されている事例が認められた。
 さらに当該資金を目的外の会場使用料として流用し、支出されている事例が認められたため、今後は公金の管理・執行に厳正を期されたい。


 滋賀県監査基準第17条第4項は次のように規定されているが、原因が記載されていないので、どういう異状なのかは理解しがたい。

 監査委員は、是正または改善が必要である事項が認められる場合には、その内容を監査等の結果に記載するとともに、必要に応じて、監査等の実施過程で明らかとなった当該事項の原因等を記載するよう努めるものとする。

食料の安定供給についてのレポート

 農業協同組合新聞サイトに昨年12月14日付けで掲出された「【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】会計検査院が食料自給率目標の「形骸化」を批判」は、「会計検査院がこのタイミングで食料自給率目標について、達成の意思と見込みに基づいた具体的な取組みと成果があったのかを検証したことは高く評価される」という書き出しで、「会計検査院が食料・農業・農村基本法の改正に伴い、これまでの基本計画に基づいた生産性向上の施策と食料自給率について数字的な分析を初めて行った」と伝える。記事によると、検査院のレポートは、「食料自給率目標を掲げるだけで、成果がでていないし、自分たちが立てた目標すら検証していないのはいかがなものか。農水省の怠慢ではないか」といった趣旨であるとのこと。

 上の記事で取り上げられているレポートは、昨年11月7日に会計検査院が内閣へ送付した令和4年度決算検査報告の「第4章」「第3節 特定検査対象に関する検査状況」に記載された「第2 食料の安定供給に向けた取組について」である。その「4 本院の所見」の最終段落は次のように記載されている。

 ついては、本院の検査で明らかになった状況を踏まえて、今後、農林水産省において、食料の安定供給に向けた取組について、効率的、効果的な施策の実施に資するよう基本計画等に示された指標に係る目標の達成状況等の検証を適時適切に行うことの重要性に留意して、引き続き、生産の増大、輸入及び備蓄の適切な組合せにより食料の安定供給が図られるよう努めることが望まれる。

監査基準を遵守していない柏市監査委員の監査報告を読む

 柏市監査委員が昨年12月7日付けで公表した監査報告を観ていく。
 まず、柏市監査基準で「監査等の結果に関する報告等への記載事項」を定めている第21条の第1項についてみていく。第1項は次のような規定である。これは、総務省案の相当する第15条第1項に比べて(6)と(8)が追加になっている。

 監査等の結果に関する報告等には,原則として次に掲げる事項を記載するものとする。
(1) 本基準に準拠している旨
(2) 監査等の種類
(3) 監査等の対象
(4) 監査等の着眼点
(5) 監査等の主な実施内容
(6) 監査等の実施場所及び日程
(7) 監査等の結果
(8) その他必要と認める事項


 まず(1)については、この報告書は監査基準に準拠している旨を記載するものですが、問題の監査報告にはそのような記述はありません。ただ、「7 監査の結果」の冒頭で「監査は,柏市監査基準に準拠し実施した。」という記載はあります。
 (2)については、柏市監査基準で「監査等の種類及びそれぞれの目的」を定めている第4条の第1項で「監査等の種類及びそれぞれの目的は,次に掲げるとおりとする。」として第1号で「(1) 財務監査(法第199条第1項)」と、また、第2号で「(2) 行政監査(法第199条第2項)」と定義していますが、本件報告書の「2 監査の種類」では「地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第1項及び 第4項の規定による定期監査並びに同条第2項の規定による事務の執行に係る行政監査」と監査基準の規定を無視して記載しています。
 (3)については、報告書の「3 監査の対象」で「(1) 1次実施分」と「(2) 2次実施分」を記載し、それぞれ「ア 監査の対象とした部局」と「イ 監査の対象とした期間」を記載している。
 (4)については、報告書の「4 重点監査項目及び着眼点」の「(2) 着眼点」で次のように記載している。

 柏市監査等実施要領4(2)別項に定める監査等の着眼点のうち,「第1節 財務事務監査の着眼点」,「第2節経営に係る事業管理監査の着眼点」及び「第3節 行政監査の着眼点」を用いた。


 (5)については、報告書に「5 監査の主な実施内容」を設けて「(1) 監査資料」「(2) 簿冊及び電子決裁文書の調査」「(3) 現地調査及び書面調査」の別に説明している。
 (6)については、報告書に「6 監査の期間及び質疑日・質疑実施場所」を設けて「(1) 期間」「(2) 質疑日・質疑実施場所」の別に説明している。
 (7)については、報告書に「7 監査の結果」を設けている。ただし、その記載内容については柏市監査基準第21条第2項及び第3項に従っておらず、異状報告にとどまっている別記事の時点と同様である。
 (8)については、報告書の「1 監査を実施した監査委員名」などが該当する。
 上記のように、柏市監査委員は柏市監査基準第21条第1項は遵守しているが、第2項と第3項には従っていない。「監査委員は,是正又は改善が必要である事項が認められる場合,その内容を監査等の結果に記載するとともに,必要に応じて,監査等の実施過程で明らかとなった当該事項の原因等を記載するよう努めるものとする。」としている第4項についてみると、例えば、指摘した異状について説明したのちに次のような説明を加えており、異状についての記載はかなり詳細であり、遵守していると言える。第1項と第4項を遵守しているのに、第2項と第3項を無視していることは理解し難い。こういう監査報告を作成する意思を決定しているなら、監査基準から第2項と第3項を削除すべきだろう。

 今回確認された事案は,令和4年度に実施した定期監査の結果に関する報告における会計年度任用職員の報酬及び通勤費の 支給誤りに関する指摘事項と同様,服務整理簿等を複数人で確認することや,支給明細書一覧を決裁する際に服務整理簿や出勤簿等の根拠資料を併せて回付し,複数人で勤務状況と報酬額を確認することで誤りが防げた可能性は高い。報酬支給額の誤りは会計年度任用職員に不利益を生じさせるものであり,指摘に至った各部署においては部署内の確認体制を改めて見直し,再発防止を徹底されたい。

山形市監査委員における行政監査の位置付け

 山形市監査委員は、令和4年度までは行政監査を財務監査とは別に行っていて、その監査報告も財務監査とは公式サイトの別なページに掲出していた。そのページでは「行政監査は、監査委員が必要と認めるときに、市が行う事務事業が合理的かつ効率的に行われているかについて、特定のテーマを選んで実施します。」と説明していてテーマ監査を行政監査として行っていたことが確認できる。具体的にみても、令和5年2月2日付けで公表している監査報告では、「法令等に支出の定めがない各種団体等への負担金について」がテーマになっており、見事な3E監査を実施している。その「第4 監査の結果」「1 負担金支出の目的、経緯は把握されているか(着眼点1)」「⑴ 負担金支出の目的が明確でないもの」では、次のような記載がある。

 同協議会の規約では、「本校の農業教育の振興を図り、地域を担う人材を育成することを目的とする。」と記載されているが、上山市に所在している県立高校の部活動の一つである農業クラブに対して助成を行う団体等に、山形市教育委員会としての立場から負担金を支出する目的が明確ではなかった。
 負担金支出の目的を再度確認し、負担金支出の適正化の観点から、検討、整理されたい。


 しかし、上記のページの説明には続きがあり、「なお、令和5年度から、定例監査と併せて実施しています。」と記載されている。そして、「定例監査及び行政監査・随時監査」と題されたページには、次のように説明している。

 定例監査は、市の財務に関する事務の執行や経営に係る事業の管理などが、適正にかつ効率的に行われているか、毎年度監査計画を定めて定期的に実施します。
 行政監査は、監査委員が必要と認めるとき、市が行う事務事業が合理的かつ効率的に行われているかについて、特定のテーマを選んで実施します。
 随時監査は、監査委員が必要があると認めたときに行う監査です。
 市長等は監査結果等に基づき措置を講じたときには、その旨を監査委員に通知することとされています。監査委員は、当該通知に係る事項を公表することとされています。
※令和4年度以前の行政監査の公表については、「行政監査」のページをご確認ください。


 このページには、令和5年度分として年末までに4本の監査報告が掲出されているが、いずれの報告でも「1 定例監査及び行政監査」「(3) 監査の範 囲」には「ア 定例監査  令和4年度の事務事業の執行状況」と「イ 行政監査  令和4年度の各種団体等の経理事務」が記載されていて、「監査の結果」も「ア 定例監査」と「イ 行政監査」の別に記載している。そこで報告されている行政監査の結果は、例えば「元木公民館利用団体協議会の経理事務において、令和4年度に帰属させるべき会費を、令和3年度末に徴収していた。」とか、「各種団体の経理事務において、預金通帳と口座の届出印の管理を同一の職員が行っていた。」とか、「支出伺兼支出命令書に添付された請求書の請求日より、領収書に記載された領収日が早いもの」とか、「市負担金に係る団体の請求事務と、市の支払事務を同一職員が行っているもの」といった統制逸脱の指摘であり、統制機能監査の域を出ていない。
 どうしてこうなったのかは公式サイトからは読み取れない。
 ちなみに、「定例監査」という表現は山形市監査基準には見当たらない。また、監査基準準拠度はYCとなっている。

Jリーグ百年構想認定サッカーチームの公益性

 NHKサイトが10月20日に掲出した「栃木 サッカースタジアムめぐる住民訴訟 市の控訴退ける判決」は、栃木市の運動公園の敷地内に、民間企業が建設したサッカースタジアムをめぐり、市民が市を相手取って固定資産税の免除の取り消しなどを求めた裁判で、2審の東京高等裁判所が、1審に続いて住民側の訴えを認め、市の控訴を退ける判決を言い渡したと報じる。栃木市が3年前に、市内を本拠地とする、「栃木シティフットボールクラブ」のメインスポンサーに対し市の岩舟総合運動公園の敷地内へのサッカー専用スタジアムの建設を許可するとともに、覚書を締結して固定資産税や土地の使用料を免除したことに対し、おととし5月、市民50人が「固定資産税や土地の使用料を免除するほどの高い公益性は認められず違法だ」として、市を相手取って、税の免除の差し止めなどを求める訴えを起こし、1審の宇都宮地方裁判所は去年1月、住民側の訴えを全面的に認める判決を言い渡したと記事は伝える。

 この住民訴訟の前談となる住民請求監査の結果は、令和3年4月23日公表の「岩舟総合運動公園内の公園施設設置許可に関する覚書並びに当該設置許可、当該設置許可に伴う使用料及び当該設置許可施設の固定資産税に関する住民監査請求」。公益性についての栃木市の弁明は次のとおり。

 公園条例第22条で、「市長は、公益上その他特別の理由があると認めたときは、使用料を減額し、又は免除することができる。」と定められており、減免については市の裁量の範囲内であり、職権濫用には当たらない。
 もともとグラウンド利用において大きな収入があったわけではないことからすれば使用料免除によるデメリットは少なく、かえって、昨今のレクリエーションに対する国民ニーズの多様化等を考慮し、民間の活用により都市公園の整備と管理を推進することが期待されていることからすれば、本件施設が建設され、公式試合が開催され、地域住民への協力により種々のイベントなどが行われることで多くの観客等の集客が見込めること、ひいては周辺地域を含めた地域振興や地域活性化に寄与することから公益性があるといえ、使用料の免除は適法である。

 監査委員は、公益性のうちサッカーについては、次のとおり、否定的であるものの、結論として棄却又は却下している。

 さらに、J3サッカー公式試合が本件施設で開催されることによる観客がもたらす経済効果を算出しているが、認定事実(10)のとおり、J3の観客動員は年々下降気味で期待どおりの経済効果が得られるとは限らないし、そもそも、本件クラブの現状は、認定事実(9)のとおり、所属リーグでは好成績であるものの、2021シーズンにおけるJFL昇格を逃している。Jリーグ百年構想クラブに認定されており、毎年選手の補強に努めているようだが、少なくとも本件許可における設置期間内にJ3昇格を確約できる証拠はなく、J3昇格は未知数だと言わざるを得ない。そうすると、J3サッカー公式試合が本件施設で開催されることによる観客がもたらす地域の活性化も未知数だと言わざるを得ない。

補助対象外の指摘

 日経サイトが10月20日に掲出した「学校Wi-Fi設置で2.5億円過大交付 検査院指摘」は、公立学校の情報通信環境整備に向けたWi-Fi設置事業を巡り、18自治体に計2億5千万円強の補助金が過大に交付されていたことが会計検査院の調査で分かったと報じる。対象外のメンテナンスや故障時の代替機の調達などに使われていたとのこと。検査院は文部科学省に過大交付分の返還と補助対象範囲について丁寧な周知を求めたと記事は伝える。

 この記事が伝える指摘は、会計検査院サイトが掲出している「公立学校情報通信ネットワーク環境施設整備事業の実施について」。その「是正及び改善を必要とする事態」はの認定は次のとおり。

 18事業主体において補助金が過大に交付されている事態は適切ではなく、是正を図る要があると認められる。また、説明資料が補助対象外経費について十分な理解を得られ るものとなっていない事態は適切ではなく、改善の要があると認められる。

改善方策の具体を相手に委ねる指摘

 NHKサイトが10月11日に掲出した「沖縄公庫で融資受けた住宅 23件が店舗や事務所などに用途変更」は、沖縄県に居住する人などのための「沖縄振興開発金融公庫」の融資を受けた住宅のうち、23件で必要な手続きなく店舗や事務所などの用途に変更されていたことが会計検査院の調査でわかりました、と報じる。記事によると、3000件を調べた結果、本来必要な公庫の許可なく、用途が住宅から店舗や事務所などに変更されていたケースが23件あったことがわかったとのこと。会計検査院は公庫に対し、許可なく用途変更した住宅の原状回復をさせるとともに、実態把握の仕組みを整備するよう求めたと記事は伝える。

 融資先における1%未満の異状(期待外れ)について、是正措置と仕組みの改善を求めた、ということのようだが、会計検査院が公表している文書によると、実態調査を依頼したのは、3千件のうち93件であり、書面で問題が起こっているかもしれないと思われるものの4分の1程度に問題があったと言える。実態調査の必要性を判断する方法が問題になりそうで、だからこそ、仕組みの改善については次のとおり抽象的になっていて、相手に委ねた感じである。

‥とともに、融資対象住宅が継続して貸付 条件に沿った利用となるよう、実態調査の必要性を判断するための端緒となる情報を自 ら取得してその判断をする具体的な仕組みを整備して、融資対象住宅の融資後の状況を 適時適切に把握するための体制を整備するよう意見を表示する。


【報告拝見】尼崎市監査委員の監査結果報告書は読み応えがある

 尼崎市監査委員が令和4年3月25日付けで提出した令和3年度監査報告書は興味深い構成になっている。全体構成は次のようになっていて、通常の監査報告の前段に二つの特徴ある記載が置かれている。

「都市監査基準」の適用に伴う監査手続の変更について
1 監査結果の総括
 令和3年度監査結果を総括して
2 財務・行政監査
3 出資団体等監査及び指定管理者監査

 最初に置かれている「「都市監査基準」の適用に伴う監査手続の変更について」は、3ページにわたって記載されており、冒頭に次のような説明が置かれている。

 全国都市監査委員会により策定された「都市監査基準」の適用に伴い、本市においても、平成 29 年 4 月 1 日に同基準に準拠して尼崎市監査基準の全面改正を行い、これに則って監査手続を変更した。以下、変更の趣旨と変更点の概要を述べる。

 興味深いのは、ここで説明されているのは監査手続であり、都市監査基準を全面採用しているわけではない、ということである。尼崎市監査基準では、報告基準は実に簡素なものとなっていて、監査結果として記載することについては何の定めも置いておらず、監査報告作成時の監査委員の任意に委ねている。これは、監査人が説明する場がなく、監査報告不特定多数の人が利用する財務諸表監査と異なり、監査報告の利用者が議会であり、監査人がそこで説明する責任を有している監査委員監査であることを反映したものと言えるだろう。
 なお、このカコミ記事は、翌年の令和4年度監査結果報告書では記載されていない。
 3年度監査結果報告書には、もう一つ興味深い記述がある。それは、「1 監査結果の総括」である。ここは「I 自治体における内部統制制度の概要」「II 今年度の監査事例にみる本市内部統制の現状と課題」「III 本市内部統制制度の整備にあたって特に留意すべき点」から構成されているが、特にIII では、公的組織が陥りがちな統制環境について詳しく述べて警鐘を鳴らしている。

予備費に関するレポート

 日経サイトが9月18日に掲出した「流用・融通…ずさん予備費 驚き呼ぶ検査院報告」〔NIKKEI Financial編集長 上杉素直〕は、「無いと言っていたモノが出てきた。」との書き出しで、会計検査院が15日、新型コロナウイルス禍で膨らんだ予備費が実際どう使われたか、ひとつひとつ調べた結果を公表したと報じる。「首をかしげたくなる中身が多く、未曽有の危機下とはいえ著しく規律を欠く行政の実態があらわになった」と記事は評する。

 記事が取り上げているのは、会計検査院が国会の要請に応じて15日に提出したレポート「予備費の使用等の状況に関する会計検査の結果について」である。
 このレポートの「第3 検査の結果に対する所見」「2 所見」は、次のとおり。

 予備費については、予見し難い予算の不足に充てるために設けられている一方、令和2、3両年度には多額の予算が計上され、その大部分が使用されている。また、4年度には、令和4年度一般会計補正予算(第1号)によりコロナ対策予備費の使途に原油価格・物価 高騰対策が追加され、令和4年度一般会計補正予算(第2号)により国際情勢の変化等に伴い発生し得る経済危機への対応を使途とするウクライナ情勢経済緊急対応予備費が創設され、また、両補正予算において、予備費使用額に相当する予備費予算額を追加する措置が行われている。そして、令和5年度一般会計予算においても、新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費並びにウクライナ情勢経済緊急対応予備費がそれぞれ計上されている。
 また、予備費については、参議院決算委員会における令和元年度決算審査措置要求決議において、予備費は国会による事前議決の原則の例外であることから、その使用の状況について十分な説明が求められるとされている。さらに、令和2年度決算審査措置要求決議において、政府は、国会開会中に使用決定した各経費の予見可能性や緊急性の観点、昭和29年閣議決定との関係について疑念を招かないよう、国会において、より一層の説明責任を果たすべきであるとされ、また、予備費を財源とした執行額のみを把握することができず必要な検証を行うことが困難なものもあるなどとした上で、政府は、情報開示の在り方について検討を行い、予算の執行状況に係る透明性を向上させるべきであるとされている。
 これらを踏まえると、感染症感染拡大、経済危機等の非常事態に対して国会による事前議決の原則の例外である予備費を活用して緊急的に対処することについて国民の理解を得るためには、予備費の使用決定及びこれにより配賦された予算の執行を予備費制度の趣旨に沿って適切に行うことはもとより、これらの状況について国会及び国民への情報提供を適切に行い、予備費使用相当額の執行等に関する事後的な検証により一層資することによって、透明性を確保し説明責任の向上を図ることが重要であると考えられる。
 ついては、検査の結果を踏まえて、政府は、感染症感染拡大、経済危機等の非常事態に緊急的に対処するために、特定使途予備費又は当該特定使途予備費の創設までの間にあっては一般会計予備費をそれぞれ使用決定し、これにより配賦された予算を執行するに当たっては、予備費の使用及び予備費使用相当額の執行を適切に行うとともに、次の点に留意するなどして、予備費使用相当額の執行状況等の公表の在り方について引き続き検討し適時適切に国会及び国民への情報提供に取り組んでいく必要がある。
ア 予備費の使用決定により予算が配賦されるなどした事業ごとに、事業予算全体の執行状況と併せて、その内訳として予備費使用相当額の執行状況を公表すること
イ 事業予算の予算現額に複数の財源に係る額が含まれている事業については、事業ごとに財源選択の順序の整理方法等を明示すること
ウ 当初に予備費の使用決定により予算が配賦された事業とは別の事業へ予備費使用相当額の流用等又は目内融通を行った場合には、その状況を丁寧に示すこと
エ 事業予算の執行の結果、予備費使用相当額について多額の繰越しが生じた場合、特に、予備費使用事項1事項に係る予備費使用相当額の全額を翌年度に繰り越した場合には、事業の実施、事業予算の執行等に係る予備費使用決定時の想定、繰越しに至った経緯等を丁寧に示すこと

〔下線は引用者〕

 注目すべきは、国会による財政統制を念頭においた立論か。

会計検査院の検査官の任期が5年になっている

 日経サイトが9月12日に掲出した「会計検査院長に岡村肇氏」は、政府が12日の閣議で、9月1日に退官した森田祐司前会計検査院長の後任に、岡村肇検査官を充てる人事を決めたと報じる。発令は12日付とのこと。

 会計検査院法は、第3条で「会計検査院の長は、検査官のうちから互選した者について、内閣においてこれを命ずる。」と規定しているので、検査官での互選があったはず。
 ちなみに、往時、検査官の任期は7年、定年は65歳とされていたが、令和3年法律第61号「国家公務員法等の一部を改正する法律」第10条で次のように改正された。

第十条 会計検査院法(昭和二十二年法律第七十三号)の一部を次のように改正する。
  第五条第一項中「七年」を「五年」に改め、同条第三項中「満六十五才」を「満七十歳」に改める。

 この改正の施行は令和5年4月1日(附則第1条)で、附則第14条で次のような経過措置が設けられている。

第1項 この法律の施行後最初に任命される検査官(任期中に欠けた検査官の後任として任命される検査官を除く。)の任期は、第十条の規定による改正後の会計検査院法(次項において「新会計検査院法」という。)第五条第一項の規定にかかわらず、四年とする。
第2項 この法律の施行の際現に在職する検査官の任期及び定年は、新会計検査院法第五条第一項及び第三項の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 すなわち、4月に在職していた岡村検査官は65歳になる2024年1月に定年退官、同じく田中検査官は2025年3月に定年退官だが、9月に就任した挽検査官は任期5年・定年70歳で、2028年9月までの任期で再任は一回限りとされている(第5条第1項)ので、2034年の定年前に退官となる。

 各国の会計検査院は独立性を確保するため、そのトップの任期は長くセットされ、例えば、米国GAOのトップは15年だし、旧憲法時代の検査官は終身であった。従前の7年の任期を5年に短縮した理由は未だ承知していない。

報道された決算審査意見書が掲出されていない件

 新潟日報サイトが9月7日に掲出した「新潟市2022年度決算、基金取り崩し抑制を評価 市監査委員が意見書、所得向上や人口減への対応求める」は、新潟市監査委員が9月6日、市の2022年度の各会計決算と基金運用状況などに対する審査意見書を市長に提出したと報じる。記事によると、増加した除排雪経費などに国、新潟県の財源を活用し、基金の取り崩しを抑えたことを評価し、持続的な財政運営に向け、税収に直結する市民所得の向上や人口減少への対応を求めた、とのこと。

 記事が取り上げた意見書は、8日時点で監査委員のサイトには掲出されていない。決算書は執行側で掲出しているのに‥。

監査基準の施行日を先送りしている事例

 枚方市監査委員は枚方市監査基準に次のような定めを附則第2条として付している。

 この訓令の規定にかかわらず、監査委員は、市長において法第150条第2項の規定に基づく方針の策定及び体制の整備がなされるまでの間は、従前の例により監査等を行うことができる。ただし、市長における当該方針の策定及び体制の整備の取組状況を勘案して、 必要に応じて、この訓令の規定の全部又は一部を適用して監査等を行うことを妨げない。


 この附則は法的に有効なのか気になる。まず、施行日が決められて課されている監査委員の法的義務(準拠義務、策定義務、通知義務、公表義務)を監査委員の判断で施行日を先送りできるはずはない。
 とすると、この附則が法的に有効なのは、「従前の例により監査等を行う」ことが監査基準に従って監査等をすることと同義な場合ということになる。つまり、体制整備がなされるまでの間は「従前の例により監査等を行う」ことが、監査等の「適切かつ有効な実施を図るための基準」に従って監査等をすることと同義であると枚方市監査委員は判断したのだろう。
 そのように枚方市監査委員が判断したのなら、従前の例による監査を監査基準として明文化し公表するのが筋である。その上で、市長による体制整備が図られた段階で、監査基準を変更するのが筋である。そもそも内容が未確定であるのに、その体制整備を前提として監査等の「適切かつ有効な実施を図るための基準」を策定できるのであれば、従前の例による監査を監査基準として取りまとめることはできるはずである。
 枚方市監査委員がそうしなかったのは、従前の例による監査が「適切かつ有効な実施を図るための基準」に従った監査とは判断していなかったのではないかとの疑念が生じる。つまり、監査基準の適用を先送りしただけであり、監査基準に従った監査を行うという悪手を打ったとの疑念を拭えない。

静岡市監査委員が予算流用を指摘したらしい

 静岡新聞サイトが9月5日付けで掲出した「不適切な予算流用 静岡市企業会計 議会に諮らず」〔政治部・池谷遥子〕は、静岡市が、静岡市の4年度の公営企業会計で不適切な予算の流用があったと明らかにしたと報じる。市立清水病院と上下水道局で、議会の議決が必要な予算の流用を、議会に諮らずに行っていて、同年度の公営企業会計決算に対する市監査委員の審査で判明したという。同病院と同局は地方公営企業法施行令に基づき、それぞれの予算で職員給与費を議会の議決を経なければ流用できない経費として定めており、給与費には付属機関の委員らに支払われる報酬なども含まれるが、同病院では医療事故に備えて積み立てている保険料から地域医療支援委員会委員への報酬へ8万1千円、同局では上下水道事業経営協議会委員への報酬から旅費や備品消耗品費へ12万7千円が、議会の議決を経ずに流用されていたとのこと。いずれも、報酬は職員給与費に含まれないとの職員の誤った認識が原因との由。

 ちなみに、静岡市監査委員はYA

過大請求していた会社が専門家の協力を得て請求を点検したと説明している事例

 朝日新聞デジタルが8月9日に掲出した「発注先知らせず、コロナ業務委託 電通北海道が1.5億円過大請求」〔日浦統 長谷川潤〕は、広告最大手・電通のグループ会社、電通北海道(札幌市)が9日、北海道から請け負った新型コロナ関連の4業務で、委託料計1億5800万円を過大請求していたと発表したと報じる。電話受け付け業務を再委託した電通プロモーションエグゼ(東京)が約2年にわたり、実際の稼働実績より多く請求していたとのこと。両社は9日、不正を道に報告し、道に対して過大請求分は近く返金する方針と記事は伝える。エグゼ社は、電話受け付け業務を21年6月から今年3月まで、外部の協力会社に再々委託していたが、同日会見した北海道によると、エグゼ社が業務を再々委託していたことは、この日まで把握していなかったとの由。再々委託に必要な申請もなかったといい、道は「事実なら契約に違反する」として、今後、対応を検討すると記事は伝える。
 過大請求していたのは、ワクチン集団接種業務、PCR検査、「新北海道スタイル」普及啓発、飲食店感染防止対策認証制度の4業務で、5月下旬、会計検査院の実地検査に基づき、道庁からデータの提出を求められたため不正が発覚し、専門家の協力を得て道庁の受託業務を点検したところ、4業務で不正が見つかったと説明していると記事は伝える。不正が起きた原因について、両社は「公的業務のルールに対する理解不足やコンプライアンス意識の希薄さがあった」と分析。組織的な不正については否定したという。

 組織的な不正ではないために、「専門家の協力を得」ないと分からなかったということなのか? それとも第三者の協力を得て客観性を確保したと説明したいのか。
 そもそも随意契約だったのかが気になるところだ。

続きを読む

【不正事案発覚】不正行為者の自己申告で発覚した事例

 新潟日報サイトが6月7日に掲出した「「性善説に基づいた甘さがあった」新潟阿賀町職員公金6600万円着服、ずさん管理で8年見抜けず」は、新潟県阿賀町職員が公金約6600万円を着服した問題について、水道事業が一般会計とは異なる特別会計で運営されていることを背景に、ずさんなチェック体制で8年にわたり発覚を免れていたと報じる。監査委員による監査も機能しておらず、町は「性善説に基づいた甘さがあった」と不手際を認めているとか。6月中にも職員の懲戒処分を決定し、組織体制の見直しなどで再発防止を図ると記事は伝える。

 町のサイトに3日付け町長名で掲出されている「町職員による公金着服の事案について」によると、「令和5年5月29日、当該職員から総務課長に対し「およそ8年前位から、総額6,600万円程度の公金を私的に使った。」との申し出により発覚」したという。

東京五輪組織委員会に対する課題実状点検活動の報告書

 東京都監査委員サイトが6月6日に公開した「財政援助団体等監査報告書(組織委員会)」が報告しているのは、執行事績点検活動ではなく、課題実状点検活動である。そのことを報告書は次のように表現している。

 組織委員会は令和4年6月に解散したが、東京 2020 大会の成功に向けて組織委員会が積み重ねた工夫や努力、活動を通じて得られた様々な教訓は、将来に引き継がれるべきレガシーである。
 こうした視点に立ち、本報告書は、通例の監査報告書における、個々の事柄の改善を求めることを積み上げるような形ではなく、組織委員会のいわゆる生涯予算、組織委員会の収支の最終報告(注1)、その設立から解散までの活動全体を通して、監査という立場から評価を行い、優れた点、必ずしも適切とは認められない点の双方に触れつつ、監査で明らかになった状況を踏まえて、知見として蓄積するため、将来に向けた課題等、包括的に所見を述べる形をとっている。


 この報告について、NHKサイトは同日に掲出した「東京都監査委員 五輪・パラ事業「ガバナンスに大きな課題」」で、次のように伝えている。

 東京オリンピック・パラリンピックの事業について、都の監査委員は、組織委員会の元役員や元幹部らが起訴された事件が相次いで起きたことは、ガバナンスのあり方に大きな課題があったなどと指摘する報告書をまとめました。


メディアが年間報告を取り上げている。

 朝日新聞デジタルが5月13日に掲出した「清流マラソン実行委、会計処理に「不適切」 岐阜県監査委員が指摘」〔保坂知晃〕は、岐阜県監査委員事務局が、昨年度に実施した監査結果のあらましを公表し、県や岐阜市が負担金を支出する「高橋尚子杯ぎふ清流ハーフマラソン」の実行委員会が、県の会計規則に反して日当を出していたほか、随意契約で規則違反があったと指摘を受けたと報じている。
 記事は、監査委は、県本庁と出先の383機関のほか、県が財政的に援助する団体などを監査し、是正や改善を求める事項が計202件で、そのうち程度が重大な「指摘事項」は77件あったと伝える。
 表題の指摘の外、監査委員について、「県議2人、有識者3人の計5人で構成する。県の事務や運営などが適正に行われているかをチェックしている」と伝えている。

 監査報告とは別に年間業務報告を取り上げるのは珍しい。

【Integrity】中核市の保証型監査報告への距離感を観てみる

 監査委員が作成し準拠する監査基準について総務省自治行政局長が提案した監査基準案(送付文書の体裁からは地方自治法第194条の4第5項に規定されている総務大臣の指針には該当しないと判断できる。)には、いろいろな問題点があり、その一つが、財務監査等の監査についても、財務諸表監査における保証の性質を有する文言で監査結果を記載することとしていることである。その問題を踏まえて、各自治体の監査委員は、その問題点を回避した監査基準を作成したり、あるいは、総務省案のとおりに監査基準を作成した上で、それに準拠しない監査報告を作成したりしている。
 このことについては、都道府県と政令市の監査委員について状況を取りまとめた記事を4月9日に掲出している。
 今回、中核市について取りまとめたので記録として残しておく。
◆SS:保証型監査を示す監査結果の記載を監査委員が監査基準に盛り込まず、実際の監査報告にも盛り込んでいない
 宇都宮市川越市八尾市尼崎市吹田市奈良市〔2023/8/24〕
◆SC:保証型監査を示す監査結果の記載を監査委員が監査基準に盛り込んでいないが、実際の監査報告には盛り込んでいる
 八戸市吹田市奈良市
◆SD:保証型監査を示す監査結果の記載を監査委員が監査基準に盛り込んでいないが、監査基準で準拠を記載するとしているのに監査報告で監査基準に言及していない
〔該当なし〕
◆XA:保証型監査を示す監査結果の記載を総務省案とは異なる規定の仕方で監査基準に規定し、その表現で監査報告を作成している
 いわき市
◆XB+:保証型監査を示す監査結果の記載を総務省案とは異なる仕方で監査基準に規定しており、ほぼ監査基準に従って監査報告を作成している。。
 いわき市〔2023/11/27〕

◆XB:保証型監査を示す監査結果の記載を総務省案とは異なる仕方で監査基準に規定しているが、監査基準の表現を変更して監査報告を作成している
 盛岡市いわき市〔2023/7/30〕
◆XBー:保証型監査を示す監査結果の記載を総務省案とは異なる仕方で監査基準に規定しているが、3Eの観点を欠如して監査結果を記載している。(従来の慣行どおりに監査報告を作成している可能性が高い)〔2023/9/18〕
 青森市
◆XC:保証型監査を示す監査結果の記載を総務省案とは異なる仕方で監査基準に規定しているが、異状報告にとどめている(従来の慣行どおりに監査報告を作成している可能性が高い)
 東大阪市呉市
◆XD:保証型監査を示す監査結果の記載を総務省案とは異なる仕方で監査基準に規定しているが、監査基準で準拠を記載するとしているのに監査報告で監査基準に言及していない
〔該当なし〕
◆YA:保証型監査を示す監査結果の記載を総務省案どおりに監査基準に規定し、その表現で監査報告を作成している
 福島市大津市豊橋市('23/12/6)
◆YB+: 総務省案の文言で妥当認否を監査結果として記載する監査基準だが、監査報告では、監査基準の文言を使用しているものの、妥当性認否を示す「重要な点において」の文言がなかったり、「おおむね」を付加したりなど異状報告の姿勢が混入している
 豊中市〔2023/8/17〕、宮崎市〔2023/8/29〕長野市(2023/9/13)福島市〔2023/11/27〕八王子市〔2023/11/28〕福井市松本市岡崎市一宮市('23/12/21)松山市〔2024/1/19〕鳥取市〔2024/1/26〕
◆YB:保証型監査を示す監査結果の記載を総務省案どおりに監査基準に規定しているが、監査基準の表現を変更して監査報告を作成している
 八王子市福井市長野市松本市岡崎市一宮市姫路市宮崎市倉敷市〔2023/8/25〕福島市〔2023/8/28〕和歌山市〔2023/9/6〕鳥取市〔2023/11/24〕
◆YBー:総務省案の文言で妥当認否を監査結果として記載する監査基準だが、監査報告では3Eの認否がない(従来の慣行どおりに監査報告を作成している可能性が高い)〔2023/9/5追加〕
 旭川市函館市秋田市前橋市高崎市越谷市船橋市富山市甲府市岐阜市豊田市豊橋市高槻市枚方市寝屋川市鳥取市福山市下関市高松市高知市久留米市長崎市鹿児島市那覇市佐世保市(2023/9/16)水戸市(2023/9/19)松山市〔2023/11/24〕柏市('24/1/16)
◆YC:保証型監査を示す監査結果の記載を総務省案どおりに監査基準に規定しているが、異状報告にとどめている(従来の慣行どおりに監査報告を作成している可能性が高い)
 山形市郡山市水戸市川口市柏市横須賀市金沢市豊中市西宮市和歌山市松山市佐世保市大分市
◆YD:保証型監査を示す監査結果の記載を総務省案どおりに監査基準に規定しているが、監査基準で準拠を記載するとしているのに監査報告で監査基準に言及していない(監査基準を一顧だにしていない)
 岐阜市明石市松江市倉敷市倉敷市〔2023/11/24〕寝屋川市〔'24/2/8〕
 上の分類は、横並びでの比較検討が十分でなく、特にBとCは揺れ動いている。
 それはともかく、傾向的に言えば、まず、監査基準準拠を監査報告に記載するとしている監査基準を作成しておきながら、監査報告に監査基準への言及がないDについては、自分なりに監査基準を作成しているSやXには存在せず、総務省案が有する問題をそのまま受け入れたYに存在しているのは、監査基準を一顧だにしていないことを示しているといえよう。
 次に、従前の監査報告の文章を継続しようとするとAにはなりにくくBかCになるが、BもCも報告基準に準拠しているとは言い難いと理解すれば、保証型を示している総務省案の部分を削除すれば足り、その結果がSの監査基準となる。SSはその結果であろう。SCが存在するが、これは保証型の記載も許容するとのことなので、準拠性の観点からは問題視すべきではなく、そう書きたいのであればそのような監査基準にすべきである、という意味でSを選択したことの問題である。
 最後に、地域的な偏りであるが、特段の傾向は認められない。

*都道府県と政令指定都市はこちら

【Integrity】松山市監査委員の監査基準準拠度はYC→YB-→YB+

 2023/4/1以降、監査委員の監査基準準拠度は、監査基準の充実(第1項目)と監査報告への反映(第2項目)の二つの項目で格付けする。
◆報告基準に問題(妥当性認否と異状報告の接ぎ木、監査での妥当性認否、目的規定との重複)がある総務省案を修正し、財務監査について監査の結果として妥当性を認否する記載を行うこととしない監査基準の場合は第1項目をSとし、妥当性認否を宣明していない監査報告を作成している場合SS、財務監査について認否を宣明している場合はSC、監査報告に当該監査基準に準拠している旨を記載することとしているのに、監査報告に監査基準が記載されていない場合はSDとする。
◆妥当性認否を記載することとしている監査基準については、
◇第1項目の監査基準については、総務省案について何らかの修正をしているが、監査での妥当性認否宣言は採用している場合、第1項目をXとし、総務省案と同一の規定をしている場合、第1項目をYとする。
◇第2項目の監査報告については、監査基準の文言で監査報告を作成している場合A、基準と異なる表現で妥当性認否を宣言している場合B、妥当性認否宣言をしていない場合Cとするが、監査報告に当該監査基準に準拠している旨を記載することとしているのに、監査報告に監査基準が記載されていない場合Dとする。
 松山市監査委員の監査基準は、財務監査等についても妥当性認否を監査結果として記載することを総務省案のとおりに定めていてY、4月21日付け定期監査報告は、監査結果を次のように記載した後に、監査箇所別に監査結果を「関係書類を抽出調査したところ、適正に処理されていた。」などと異状の有無を報告していて妥当性認否は行っておらず、C。

 次のとおりである。
 なお、文中で特に説明のない数値は令和 4 年 12 月 31 日現在のものであり、金額は表示単位未満を四捨五入したものである。



参考:全都道府県・全政令指定都市一覧全国中核市の一覧

続きを読む

【Integrity】妥当性認否記載から都道府県・政令市監査委員の監査基準準拠度を判定した

 総務省監査基準案はいろいろな問題点を有しているが、その一つが監査結果として妥当性の認定を記載することとを、決算などの審査結果(審査意見)だけではなく、財務監査等の監査報告にも求めていることである。問題の規定は「第3章 報告基準」で「監査等の結果に関する報告等への記載事項」を定めている第15条の第2項及び第3項の規定である。 例えば、財務監査については、第2項主文と第1号で次のように規定している。

第2項 前項第六号の監査等の結果には、次の各号に掲げる監査等の種類に応じて、重要な点において当該各号に定める事項が認められる場合にはその旨その他監査委員が必要と認める事項を記載するものとする。
第1号 財務監査 前項第一号から第五号までの記載事項のとおり監査した限りにおいて、監査の対象となった事務が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めていること


 そして、第3項では次のように、妥当性が認定できない場合もその旨を記載することを監査委員に求めている。

 第一項第六号の監査等の結果には、前項各号に掲げる監査等の種類に応じて、重要な点において当該各号に定める事項が認められない場合にはその旨その他監査委員が必要と認める事項を記載するものとする。


 この規定の問題点の一つは、この第2項と第3項にある「重要な点において」という文言である。この文言は最終段階で盛り込まれているもので、総務省案は平成31年3月29日付けで自治行政局長が発出しているが、直前の2月6日時点の案総務省サイトに掲出されている。)では、「前項第七号の監査等の結果には、次の各号に掲げる監査等の種類に応じて当該各号に定める事項が認められる場合にはその旨その他監査委員が必要と認める事項を記載しなければならない。」となっていて「重要な点において」という文言はなかった。
 この「重要な点において」という表現は民間企業の財務諸表監査に関する監査基準において例えば次のように記述されており、これとの比較から挿入されたものと想像できる。

 監査対象とした財務諸表の範囲、及び経営者の作成した財務諸表が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を全ての重要な点において適正に表示していると認められること


 民間の監査基準で「重要な点において」が挿入されているゆえんは、民間の財務諸表監査が保証型と呼ばれる性格を有しているからである。財務諸表監査報告の利用者は第一義的には投資家(現に投資している人とこれから投資しようか検討している人)であり、彼らに対して「細かい点で事実と異なるところはあるかもしれませんが、財務諸表を信頼して判断を下しても大きく誤ることはないですよ」という保証を与えているのが財務諸表監査の監査報告であり、「大きく誤ることはない」ことを示すのが「重要な点において」の意味である。
 そもそも、財務諸表は大冒険時代の東方交易の航海の出資者に対して航海の都度精算して利益を配分するために報告書として始まり、株式(不特定多数に対して譲渡可能である出資証券)を発行して設立される株式会社については定期的に作成されるようになった。この財務諸表について、信頼に値するのかを点検して異状の有無を報告するものとして財務諸表監査が成立した。この監査は、財務諸表に対する信頼を確保することで株式の流通を円滑に行うことを主たる目的としており、信頼を確保するために、すべての監査人が守るべきことを監査基準が定めている。監査基準は、一般基準、実施基準、報告基準から構成されており、一般基準は守備義務など監査人に関する規範が定められ、実施基準は監査に当たって実施すべき手順などをまとめられ、報告基準は監査報告に記載すべき内容を取りまとめられている。監査報告の利用者にとっては報告基準が最も必要であり、報告基準に何が記載されているかで財務諸表がどの程度信頼できるかを知ることができる。例えば、監査報告に記載する財務諸表に対する意見としては「無限定適正意見」、「限定付適正意見」、、「不適正意見」、「意見差控え」があり、これらをどの場合に用いるかは監査基準が定めており、これにより、財務諸表の利用者は、報告した監査人が監査基準を遵守している限り、監査人と同一の認識を持つことが可能となる。
 このように財務諸表が信頼に値するものかどうかを示す文書だからこそ、それが間違えていた場合、つまり、監査人が粉飾決算を看過した場合には、その都度、監査基準が改正されてきた。例えば、2002年には、一部の反対を押し切り「懐疑心」という文言が監査基準に盛り込まれた。つまり、監査基準は、監査報告の利用者が監査報告の正確性を信頼できるように、具体的に取りまとめられているもので、これを充実させることで監査の質の確保を図ってきた。
 財務諸表監査報告の主たる利用者が投資家(不特定多数の潜在的投資家を含む。)であるのに対し、監査委員が行う公監査の監査報告の主たる利用者は議会である。議会は、被統治者が課税を受忍する代替措置であり、統治者の課税権を承認する権限(課税承認権)を有すること、さらには、徴収して造成される公金の使途を承認する権限(予算承認権)を有することで成立する。この議会に対して、課税の状況と予算執行の状況を点検して異状の有無を報告するのが公監査である。財務諸表監査と異なり、報告を受ける議会は監査報告の内容について監査人を質すことも可能であり、また監査を受けた執行側を質すことも可能である(地方自治法第121条第1項)。このため、議会に提出される監査報告は、同時に首長と説明責任を有する執行責任者にも提出される(審査の場合は首長経由で議会へ提出される)。さらに、監査が十分でないと判断した場合など必要があれば、監査委員に対して監査して報告することを請求することもできる(98第2項)。
 つまり、監査委員の監査報告は予算執行の状況について議会に対して情報を提供するものであり、妥当性について保証を与える性格のものではない。予算執行の状況というと幅広いが、これまで監査委員が財務監査結果として報告してきたものは、監査委員に義務付けられている財務監査(「定期監査」「定例監査」などと呼称されている地方自治法第199条第4項の規定に基づく監査)に絞ると、統制(議会統制や執行責任者の統制)に従って予算が執行されているかを個々の執行事績ごとに点検して、その逸脱を異状として報告するものや執行結果である実状を点検して改善すべきことを異状として報告するものであった。そして、摘出した問題点を監査報告に取りまとめるに当たっては監査委員によっていくつかのスタイルがあり、一つは、、監査結果として異状事案を列挙するだけのスタイル①、次に、これに加えて他の執行事績や他の監査箇所について異状がなかった旨の監査状況を説明する文言を追加するスタイル②、三つ目のものとして、「適正に処理されていた」など監査客体を説明する文言を追加するスタイル③があった。
 ③のスタイルを取っていた場合、妥当性認否を監査結果として記載することは抵抗がない。しかし、従前は「おおむね適正に処理されていた」と記載していても、監査委員間で何が重要かという合意が成立しない限り「重要な点において適正に処理されていた」とは書きにくい。財務諸表監査では、信頼して投資などの判断の基礎としても大きな間違いは生じない、ことを「重要な点において」は意味しているが、公監査では「信頼しても」や「基礎として投資などの判断を行う」といった前提が欠如しているため、何が重要かという合意は成立するはずがない。
 ②のスタイルを取っていた場合、妥当性認否を記載することは、スタイルを維持しようとする限り、難しい。
 ③のスタイルを取っていた場合は、指定事項を列挙した上で、他は良かったという記載を付け加えることは可能であるが、その場合でも「重要な点において是である」という認定をするのは困難である。
 上記のように、「重要な点において」が挿入される前の文章であれば、個々の執行事績を点検して異状の有無を報告する従前と同様に報告を作成することも可能であったが、「重要な点において」の挿入により、総務省案は保証型監査を求めるものになってしまい、従前のスタイルを継続して監査報告を作成することは困難になってしまった。
 そこで監査基準については監査委員によって幾つかのバリエーションが生まれている。一つは、総務省案が提案する第15条第2項第3項の趣旨を採用していない監査基準で、本稿ではSと表記する。二つ目は、趣旨は採用するが規定ぶりを変更している監査基準で、本稿ではXと表記する。三つめは規定ぶりを採用している監査基準で、本稿ではYと表記する。
 また、監査報告も監査基準の準拠度で幾つかに分かれる。Sの監査委員が監査基準に準拠して妥当性認否を記載していない場合本稿では準拠度をSとし、規定していないのに記載している場合Cとする。X又はYの監査委員が監査基準の文言どおりの財務監査報告を作成している場合Aとし、「重要な点において」を用いないなど文言を変更している場合Bとし、妥当性認否を記載していない場合Cとする。また、監査基準において、総務省案を採用して、監査報告には監査基準に準拠している旨を記載すると定めている監査委員が、監査基準に言及していない場合、つまり監査基準を一顧だにしていない場合はDとする。
 以下、都道府県を上記により分類した結果を示す。
<SS> 妥当認否を監査結果に記載することとはしていない監査基準で監査報告にも記載していない
 栃木県群馬県東京都神奈川県長野県静岡県愛知県京都府大阪府兵庫県奈良県鳥取県山口県札幌市京都市堺市
<SC> 妥当認否を監査結果に記載することとはしていない監査基準だが、監査報告には記載している
 神戸市山梨県('23/12/6)
<SD> 妥当認否を監査結果に記載することとはしていない監査基準だが、監査基準で記載するとしている監査基準準拠を監査報告に記載していない逸脱
 山梨県
<XA> 独自の文章で妥当認否を監査結果に記載することとしており、監査報告にも記載している
 該当なし
<XB> 独自の文章で妥当認否を監査結果に記載することとしているが、監査報告には基準とは異なる表現で記載している
 埼玉県大分県広島市
<XBー>独自の文言で妥当認否を監査結果として記載する監査基準だが、監査報告では3Eの認否がない〔2023/9/5追加〕
 広島市〔2023/8/25〕埼玉県〔2023/9/5〕大分県(2023/9/9)
<XC> 独自の文章で妥当認否を監査結果に記載することとしているが、監査報告には妥当認否を記載していない
 横浜市大分県(2023/12/30)
<XD> 独自の文章で妥当認否を監査結果に記載することとしているが、記載するとしている監査基準準拠を監査報告に記載していない逸脱
 該当なし
<YA> 総務省案の文言で妥当認否を監査結果として記載する監査基準で、監査報告でもそのとおり記載している
 滋賀県静岡市高知県〔2023/8/11〕岐阜県(2023/9/13)川崎市(2023/12/12)
<YB+> 総務省案の文言で妥当認否を監査結果として記載する監査基準だが、監査報告では、監査基準の文言を使用しているものの、妥当性認否を示す「重要な点において」の文言がなかったり、「おおむね」を付加したりなど異状報告の姿勢が混入している
 大阪市〔2023/8/17〕、福島県〔2023/9/4〕三重県〔2023/11/23〕愛媛県〔2023/11/24〕岡山県('23/12/21)茨城県('23/12/26)山形県('24/2/19)
<YB> 総務省案の文言で妥当認否を監査結果として記載する監査基準だが、監査報告では異なる文言で認否している
 岩手県福島県岐阜県岡山県愛媛県相模原市福岡市大阪市茨城県(2023/9/12)
<YBー> 総務省案の文言で妥当認否を監査結果として記載する監査基準だが、監査報告では3Eの認否がない〔2023/9/5追加〕
 北海道青森県宮城県秋田県山形県千葉県新潟県富山県石川県三重県和歌山県島根県香川県福岡県佐賀県長崎県熊本県宮崎県沖縄県仙台市さいたま市千葉市川崎市新潟市浜松市岡山市北九州市熊本市鹿児島県('23/10/14)
<YC> 総務省案の文言で妥当認否を監査結果として記載する監査基準だが、監査報告では認否していない〔2023/9/5再修正〕
 茨城県福井県広島県徳島県名古屋市熊本市岩手県(2023/12/1)
<YD> 総務省案の文言で妥当認否を監査結果として記載する監査基準で、記載するとしている監査基準準拠を監査報告に記載していない
 高知県佐賀県長崎県鹿児島県
 監査は人によるとは言え、地域差があるのは興味深い。隣県を参考にして安心して堕落しているのだろう。

*中核市についてはこちら

【テーマ監査】新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業

 公監査機関は、財政議会主義の下で、議会が代表する被統治者の代理人としての機能を有する。このため、被統治者の関心が高いテーマについては、課題実状点検活動を行う。この活動は、監査要員の管理としては「テーマ監査」ということになる。
 会計検査院が3月29日に国会及び内閣へ報告した「新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業の実施状況等について」〔概要(PDF形式:79KB)報告のポイント(PDF形式:588KB)本文(PDF形式:1,421KB)〕というレポートは、次の公式サイトの説明からも課題実状点検活動の典型例として挙げてよいだろう。

 新型コロナウイルス感染症は、令和元年12月以降、その感染が国際的な広がりを見せており、我が国においても2年1月に感染者が確認され、その後、全国的に感染が拡大した。このような状況を受けて、政府は、新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種が、生命・健康を損なうリスクの軽減や医療への負荷の軽減、更には社会経済の安定につながることが期待されることから、ワクチンを確保したり、ワクチン接種に必要な物品を調達したりするとともに、ワクチン接種に係る事務の実施に必要なシステムの開発、都道府県及び市町村が行うワクチン接種に係る事務に対する補助金等の交付等の新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業を実施している。
 新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業の実施状況等については、これまでに国民の多くがワクチン接種を受けており、また、多額の国費を投入して実施されている事業であることなどから、国会等において様々な議論がなされるなど、国民の関心が高いものとなっている。
 本報告書は、以上のような状況を踏まえて、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業の実施状況等について検査し、その状況を取りまとめたことから、会計検査院法(昭和22年法律第73号)第30条の2の規定に基づき、会計検査院長から衆議院議長、参議院議長及び内閣総理大臣に対して報告するものである。


 この報告について、日本経済新聞社サイトは「コロナワクチン8.8億回分の根拠「不十分」 会計検査院」という記事で伝えている。

【テーマ監査】東京都監査委員の新型コロナウイルス感染症対策

 東京都監査委員が2月14日付けで提出した監査報告はテーマ監査(東京都監査委員は「行政監査」の名称で、新型コロナの拡大対策に追われていた令和2年を除いて毎年実施している。)の報告であり、そのテーマは「新型コロナウイルス感染症対策事業」。
 公監査機関の点検活動には3種類があり、その一つが課題実状点検活動(ほかの二つは決算書類点検活動と執行事績点検活動)である。この活動には、成果検証型と問題分析型があるが、上記の監査報告は、記載されている次の観点からして成果検証型といえる。

 そこで、本監査においては、新型コロナウイルス感染症対策事業をテーマとし、都が大規模な予算を投じてこれまで行ってきた、感染拡大の防止、都民・事業者の生活と事業活動を支えるための支援、都民の生命と健康を守る事業について、緊急的な対応を求められる状況において、法令等に定められた枠組みの中で効果的に実施されているか、また、予算は事業目的に沿って適切に執行されているかについて、地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第2項及び第7項により、東京都監査委員監査基準(令和2年東京都監査委員告示第2号)に準拠して監査を実施した。

 まさに時宜を得た取組であり、東京都監査委員が充実した監査を行っている証と言えよう。

続きを読む

【機関代表】東京都監査委員は主査監査委員が代表して議会報告を行う

 国民・住民に対する課税について議会の同意を必要とする議会主義制度下では、議会に対して監査報告を提出する公監査機関が存在する。議会へ監査報告を提出する立場であることから議会の一部ではないが、議会が必要とする情報が提供できなければ存在価値がないことから、公監査機関は議会と不即不離の立場をとることになる。
 監査委員と議会の関係も、自治体によってさまざまだが、なかには毎年定期的に議会に対して年次報告を行うところもある。例えば、東京都監査委員は、毎年、最初の本会議で、都知事の施政方針説明、警視総監の治安状況説明に続いて監査結果の報告として1年間の活動状況を説明している(この説明に続いて包括外部監査人が包括外部監査結果の報告について説明した後、何もなければ散会している)
 今年は2月15日に都議会で報告を行ったことを公式サイトで次のように説明している。

令和5年第一回都議会定例会 監査委員報告について
 令和5年2月15日の第一回都議会定例会において、監査委員を代表して、 伊藤ゆう委員が、定例監査、工事監査 、財政援助団体等監査など、過去1年間の監査結果を報告しましたのでお知らせします。


 伊藤議員が監査委員を代表して報告したのは、代表監査委員だからではなく、東京都監査委員監査基準が次のとおり定めている「主査監査委員」であるためである。

(主査監査委員)
第6条 主査監査委員は、議員のうちから選任される監査委員(以下「議員選任監査委員」という。)の中から、監査委員の合議により定める。
 第2項 主査監査委員は、監査委員の合議の取りまとめ、講評、議会報告その他代表監査委員の事務に属しない事務を処理する。
 第3項 主査監査委員に事故があるとき、又は主査監査委員が欠けたときは、他の議員選任監査委員がその職務を代理する。

 地方自治法上は監査委員は独任制の建前であり、代表監査委員と称される者も存在するが、代表する権限があるわけではなく、その職務は次のとおり庶務と訴訟対応に限定されている。

第199条の3 監査委員は、識見を有する者のうちから選任される監査委員の一人(監査委員の定数が二人の場合において、そのうち一人が議員のうちから選任される監査委員であるときは、識見を有する者のうちから選任される監査委員)を代表監査委員としなければならない。
 第2項 代表監査委員は、監査委員に関する庶務及び次項又は第二百四十二条の三第五項に規定する訴訟に関する事務を処理する。
 第3項 代表監査委員又は監査委員の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟については、代表監査委員が当該普通地方公共団体を代表する。
 第4項 代表監査委員に事故があるとき、又は代表監査委員が欠けたときは、監査委員の定数が三人以上の場合には代表監査委員の指定する監査委員が、二人の場合には他の監査委員がその職務を代理する。

 しかし、監査委員の合議も誰かが司会をして結論を取りまとめる必要はあり、実務上は、その仕事を代表監査委員か、最先任の監査委員か事務局長かが行っていることだろう。この実務上の必要性から「主査監査委員」という概念を作った東京都は尊敬に値する。

【監査委員読本】前書き〔推敲中〕

 この本は、これから監査委員に初めて任命される方や、その補助者に初めて就く方へアドバイスを記載しています。
 ただし、アドバイスの対象は限られていて、監査委員の全ての仕事ではありません。対象外となっているものの一つに住民監査請求があります。これに対応するために、自治体によってはかなりの監査資源を充てていますが、本書では触れていません。また、財務諸表監査に類似している審査業務についても触れていません。
 本書がアドバイスするのは地方自治法第199条に基づく監査についてです。この監査が十分でない自治体があること、そして、その不十分さが不実経理が生じる一因ともなっていることから、自治体監査が少しでも充実して、事実に基づく会計経理が行われることを願って本書は執筆されています。
 本書では、読者それぞれの自治体を監査した結果が記載されている既往の報告の内容に応じたアドバイスを章を分けて記載しています。したがって、読者にとって役に立つ部分は本書の一部になってしまいますので、その点も御了承ください。
 本書が対象とする199監査については、自治体によって異なる用語が使われていますので、本書では次のように用語を定義しておきます。適宜、自らの自治体で用いられている用語に置き換えてお読みください。

◆定期監査
 本書では、地方自治法第199条第4項(「監査委員は、毎会計年度少なくとも一回以上期日を定めて第一項の規定による監査をしなければならない。」)の義務を履行するために行う監査を指し、この義務的な監査を行う過程で必要が生じた場合に義務的監査と並行して行う第2項の監査(行政監査)も含みます。自治体によっては「定例監査」と呼ぶところもありますし、また、義務的監査だけを行うとして「定期財務監査」と呼ぶところもあります。この「定期監査」との表現で、毎年行う第7項の監査(財政援助団体等監査)を含めているところもありますが、本書では含みません。

◆説明書
 本書では、監査に当たって、監査対象の事績を監査相手に事前に作成させる資料を指します。従前は「監査調書」と呼ぶところが多かったと思いますが、総務省監査基準案が財務諸表監査に倣って「監査調書」を「監査委員は、監査計画、監査等の内容、判断の過程、証拠及び結果その他の監査委員が 必要と認める事項を監査調書等として作成し、保存するものとする。」(第6条第2項)と監査人が作成する資料の意味に用いたために用いることができなくなり、「監査資料」などと言い換えたところもあります。また、もともと、公権力を行使する監査委員は文書保存義務があることから必要ないとして、この規定を設けていないところもあります。

◆指摘事項
 本書では、異状と認定して監査報告に記載する事績・事象を「指摘」と表現し、記載した事項を「指摘事項」、監査報告に記載する要件を「指摘基準」と表現します。自治体によっては本書でいう「指摘事項」を「検出事項」と表現していますし、「指摘基準」を「掲載基準」と呼んだりしています。また、「指摘事項」という表現を使わずに「是正事項」と「改善事項」に分けて表現したり、「不適切事項」と「要改善事項」に分けて表現したりしています。このように監査報告に報告する異状について複数の範疇を設けている場合、それを「指摘範疇」と本書では表現します。また、報告する異状には、異状と認定する根拠などによって例えば「補助条件違反」など様々なタイプがありますが、そのタイプを「指摘類型」と表現します。

#監査委員読本 目次 序章

【監査委員読本】序章 監査報告と監査基準〔推敲中〕

 筆者は、これから監査委員になろうとする方には、既往1年間の監査報告を読むことを先ずお勧めしています。それは、監査委員の仕事ぶりは監査報告で明らかにされているからです。監査委員の仕事は充実した監査報告を作成しているかで評価される、と言っても過言ではありません。
 このことが、同じく「監査」と呼ばれている財務諸表監査と大きく異なることです。財務諸表監査の監査報告は見知らぬ第三者である財務諸表利用者に、その財務諸表を信じて良いものかどうかを保証するためのもので、財務諸表に付されて利用されます。したがって、監査対象の財務諸表が信じるに足るものか否かを、利用者の誰もが誤りなく理解するよう明確に記載する必要があるため、すべての監査人が共通の記載をする必要があり、監査結果として記載する内容は4類型(無限定適正意見・限定付適 正意見・不適正意見・意見差控)であることが監査基準で定められています。
 これに対し、監査委員が監査報告に何をどう記載するかについては監査委員の任意に委ねられています。国については会計検査院の検査報告に記載する内容について会計検査院法に定めがありますが、監査委員が監査報告に記載する内容については地方自治法には定めがありません。実務上はそれぞれの自治体の監査委員は、前任者を踏襲する形で、発掘した異状を「指摘事項」などと呼んで監査報告に記載してきましたし、審査意見などでは、計数は正確であると認められたなどの適正意見的な文言を記載していました。
 平成29年の地方自治法改正(施行は令和2年)で監査委員は監査基準を作成することが義務付けられ、総務省がその案を示しました。その案では、財務諸表監査を意識してのことか、監査結果として適正意見的なものを記載することを監査基準で定めることが提案されています。具体的には第15条第2項本文を「前項第六号の監査等の結果には、次の各号に掲げる監査等の種類に応じて、重要な点において当該各号に定める事項が認められる場合にはその旨その他監査委員が必要と認め る事項を記載するものとする。」とし、第3項を「第一項第六号の監査等の結果には、前項各号に掲げる監査等の種類に応じて、重要な点において当該各号に定める事項が認められない場合にはその旨その他監査委員が必要と認める事項を記載するものとする。」としています。その結果、例えば第2項の第1号では「財務監査」の場合、「前項第一号から第五号までの記載事項のとおり監査した限りにおいて、 監査の対象となった事務が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めていること」が重要な点において認められる場合にはその旨、認められない場合にはその旨を監査の結果として記載することになります。いわば、監査対象が妥当なものか否かの認定を監査の結果として記載することを監査委員に義務付けているわけです。
 ただ、これは、従来の「監査」(地方自治法上の監査)実務からは遊離しています。たしかに、一部の自治体では、定期監査の報告で「適正と認められた」などと記載していましたが、それは、「指摘すべきことはなかった」と同じ意味で用いており、多くの自治体では、「次の点を除いて適正と認められた」などの表現を用いたり、あるいは妥当性認否表現を避けたりしました。そして、監査の結果として記載されるメインは「指摘事項」などと表現される異状報告でした。この点を踏まえたのか、総務省監査基準案も第15条第4項で「監査委員は、是正又は改善が必要である事項が認められる場合、その内容を監査等の結果に記載するとともに、必要に応じて、監査等の実施過程で明らかとなった当該事項の原因等を記載するよう努めるものとする。」として、監査の結果で異状報告を記載することを定めています。ただ、監査結果として記載すべきものは、既に第2項と第3項で妥当性認否宣言と「その他監査委員が必要と認める事項」であると定められているので、規定ぶりとしてちぐはぐな感は否めません。おそらく、異状報告は盛り込みたいと考えて原案検討段階で追加されたものかもしれません。
 これに限らず、総務省監査基準案には洗練されていないところがあります。例えば、先ほど触れた第15条第2項第1号の文言ですが、これは、第2条第1項第1号で財務監査の目的として定められている「財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること」と重複感があり、検討する余裕があればもっと洗練された規定ぶりになっていたはずです。想像するに、この総務省監査基準案の作成過程では、いろいろな先生方が関わっていて、なかにはご自分の提案した部分が修正されると不快感を示されるような重鎮もいらっしゃったのでしょう。そのせいで、規定ぶりとしては洗練さに欠けたものとなり、おそらくはそのために、総務大臣官房における審査過程を経ることなく、局長通知として発出されたのではないかと筆者は推測します。もともと、監査基準については、地方自治法第198条の4第5項で「総務大臣は、普通地方公共団体に対し、監査基準の策定又は変更について、指針を示すとともに、必要な助言を行うものとする。」で総務大臣通知か依命通知が発出されることが予定されていますが、令和5年1月段階ではいずれも発出されておらず、平成31年3月29日付けで総務省自治行政局長が発出した「監査基準について総務大臣が示す指針の策定について(通知)」があるだけです。ここでは、「今般、当研究会における議論を踏まえ、地方公共団体に共通する、監査等を行 うに当たって必要な基本原則と考えられる事項を規定した「監査基準(案)」(別 添1)を策定しました。」とされ、添付されている監査基準(案)は局長が策定したものであって総務大臣が示すはずの「指針」ではないことが明確にされています。
 このためか、充実した監査を行っている監査委員は、この総務省案と異なる監査基準を作成しています。
 最も創意工夫ある監査を行っていると筆者が思っている大阪府監査委員は条文数が9の簡潔な監査基準を作成しており、そこでは監査の結果として記載することを定めず、その下の監査実施要領で「法律、政令、省令、条例、規則、規程、要領及びこれらの運用解釈に係る通知等に抵触し、是正を要すると認めた事項」を「是正事項」として処理し、「効率性・経済性・有効性等の観点から改善を要すると認めた事項」を「改善事項(意見)」として処理することを「第4 監査結果の処理基準」として定めています。
 また、組織的な監査を行っていると筆者が思っている東京都監査委員はその監査基準第25条第2項で「監査委員は、指摘事項又は意見・要望事項が認められる場合は、その内容を監査等の結果に記載 するとともに、必要に応じて、監査等の実施過程で明らかとなった当該事項の原因等を記載するよ う努める。」と異状を報告することだけを定めています。
 本題に戻ると、監査委員又はその補助者に就任した場合、先ずは過去の監査報告を読み込んで理解することが、監査の継続性の上からも大事です。理解するためには、過去 1年間の監査報告を読み込むだけではなく、できれば、過去3年間の監査報告と代表監査委員交代前の監査報告と比較する必要もあります。理解した上でないと、監査の質を改善することはできません。
 監査の質を改善する必要があるのは、不正経理を抑止することが監査の大きな目標だからですが、それは最後の話です。最初に行うべきは、これまでの監査報告をどう理解するかです。
 まず、過去1年間の定期監査(前書きで説明しています。)の報告を読んでください。その監査の結果には、異状なしの記載(「指摘すべきことは無かった」などの表現が使われています。)が多くあると思いますが、異状の報告(「指摘事項」などの表現が使われています。)もなされているはずです。仮に、異状の報告が全く為されていない場合には、第1章をお読みください。何らかの異状の記載がある場合には、第1章は飛ばして第2章にお進みください。
 読者の皆さんが充実した監査を行われることを期待しています。

#監査委員読本 目次 前書き 第1章

【監査委員読本】第1章 過去の監査報告で異状が報告されていない場合〔推敲中〕

 着任した監査委員の過去1年間の監査報告に何も異状が記載されていない場合、先ずは、その経緯を調べる必要があります。
 前任者や周囲の人に聞けば、その経緯は二つに分かれるはずです。一つは、異状が無かったから記載していないという単純な場合、今ひとつは、異状を発見しているが、監査報告に記載する要件を満たしていないとして記載していない場合です。それぞれの場合の対処を第1節と第2節で説明します。
第1節 異状を発見していない場合
第2節 発見した異状を報告に記載していない場合

#監査委員読本 目次 序章 第2章

【監査委員読本】第1節第1節 異状を発見していない場合〔推敲中〕

 ここで、異状を発見していない場合、というのは、1年間の監査を通して全く異常を発見していない場合を指します。例えば学校など定例的な業務がほとんどで、それも処理に時間をかける余裕がある場合には、落ち度無く処理が進むのが通例であり、事績の異状を発見できなくても不思議ではありません。しかし、本庁の業務、特に予算が急増していて人員配置が追い付いていない部署などでは、多重チェックをかけていてもミスが看過されるので、1年間かけて異状を発見できないというのは問題があります。
 異状を発見できていない場合、監査の問題として二つのことが考えられます。一つは、点検表に従った監査を行っている場合、今一つは確認的な追認を行っている場合です。
 まず、点検表に従った監査を行っている場合です。点検表に従った監査を行っていても異状は発見できるはずですが、過去に存在した異状を、「××していないか」という点検項目に整理して財務行為の別に編纂していると問題があります。過去に存在した異状については、指摘を受けた執行側が改善に努めていれば、同種の異状は減少し、場合によっては皆無になるでしょう。新奇性を好む監査委員・補助者がいれば、新規の項目が追加されていきますが、点検表に従って点検した結果、異状が無ければ異状なしとする、という監査スタイルを採っている場合、点検表に従った監査は、異状を発掘できないことを合理化するものになりかねません。また、監査対象が点検表に従って事前点検を行っていれば瑕疵が修復されます。
 では、どうすればよいか。
 一つの方法は、点検表の充実進化です。まず、予算や人員が同規模の自治体で監査委員がどのような異状を報告しているか調べてください。そこに報告されている異状を点検表に追加してください。
 もう一つの方法は、監査要員に裁量を与えることです。点検表に従って点検するだけではなく、自らの思い付きで点検することを奨励すべきです。特に3E監査は執行結果が大事ですので、執行した後の状況を点検するようにしましょう。そして、監査を終えた監査要員には「何か気になったことはあるか」と水を向けてください。この問いに30回に1回ぐらいは、「そういえば」という説明が来るはずです。その説明が異状発掘に繋がるのは50回に1回くらいでしょうが、その説明を求めることが発掘に繋がります。
 追認的な確認を行っている場合、というのは、執行側が行っている同僚や上司による点検と同様の点検を行っている場合です。例えば、起案文書ごとに点検を行っていると、起案文書内の整合性の点検に陥りがちで、前段階の決裁文書との整合性や文書が対象としている実態との整合性の点検を怠りがちになります。
 ですから、相手の内部点検を信頼して、それと異なる点検をするようにすべきです。文書作成過程で生じる文書内不整合のミスは上司の点検で修復できるので、それとは異なる点検方法を考えるようにしてください。業務執行過程で照合し難いもの、例えば、水道料金であれば、昨年同期のメーター量との比較など、普段の内部点検では行わないような点検を心掛けてください。
 人間である以上、錯誤は必ず生じます。そして、それが内部点検で発見されないまま実行されることもあり得ます。その発掘をするのが監査の重要な役割です。監査リスクは固有リスク×統制リスク×発見リスクで表現されますが、異状を発見していない場合は、発見リスクが極めて高い状態と言えます。

#監査委員読本 目次 第1章 第2節

【監査委員読本】第1章第2節 発見した異状を報告に記載していない場合〔推敲中〕

 異状を発見しているが監査報告に記載していない場合は、まず、ことの経緯から確認しましょう。おそらく、何らかの時点で、「指摘基準」(どのような異状を監査報告に記載するかの判断基準)が形成されているはずです。明文化されていない場合もあるかもしれませんが、その基準、例えば、結果的に相当な額の実損が生じていない限り統制逸脱を報告しないという基準が存在していれば、それは改善すべきでしょう。なぜなら、公監査の有する牽制・抑止効果は、監査報告で指摘された方が発揮されるからです。また、修復・改善効果も、公表される監査報告に記載されている方が発揮されるからです。
 したがって、その場合、例えば同程度の予算規模や人口規模・組織規模の自治体の監査報告を通読する必要があります。そこで報告されている異状と同程度のものが、指摘基準のゆえに未掲載であれば、指摘基準の見直しが必要です。
 ただ、指摘基準の見直しには抵抗があるかもしれません。監査の継続性の見地からも、突然の変更は容易ではありません。その場合、第2章以下で説明するような指摘範疇や指摘類型を追加することで改善を図る方が確実かもしれません。
 ちなみに、国の公監査機関である会計検査院では会計検査院法で「検査の結果法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項」などを記載することが定められていますが、この指摘基準として金額的な影響の程度と落ち度の程度があることを、会計検査院長が昭和52年国会で次のように説明しています。もっとも、金額的な影響が大きいものほど注意義務も大きくなると考えれば、注意義務違反の程度と要約しても良いのかもしれません。

○佐藤会計検査院長 検査院のいわゆる不当事項というのは、院法で規定されておりますが、その内容についてまで規定してございませんので、これをどう考えるかは、おのずから常識の線に従って考えなければなりませんが、法律、政令もしくは予算に違反した事態または不経済となっているものという中から不当事項が出ていくわけでございますが、それにしても、御承知のように、たとえば、ごく小額の過払いがあったりしたものを一々不当事項として挙げるということは、これまた非常にどうかと思うのです。それで、おのずからそのスケールの問題が、そこに出てくるわけでございます。
 それと、もう一つ皆さんに御理解していただきたいのは、不当事項としてわれわれが批難する以上は、その裏に何らかの手落ちがあって、そういう不当事項が生じた。神ならぬ身のあれがやるのですから、行政官がやっているんで、結果において不当な事態になってしまったという場合もあるわけですね。そういうものまでも、われわれとしては不当事項として批難するわけにはいかないと思うのです。それで、いま申し上げましたようなことから、ある程度の規模ということ、それから批難されるべき、検査報告に掲記して批難するに値する程度の落ち度があったという、そういう大きな柱がございまして、それにかけて掲記した方がいいかどうか、こういうことを考えて出しているのが、現在の不当事項でございます。



#監査委員読本 目次 第1章 第2節                                                            

【監査委員読本】第2章 過去に報告されている異状が監査前に既知だった事象だけの場合〔推敲中〕

 各地の監査報告を読んでいると、不思議な監査報告もあります。例えば、出先機関の監査報告に詳細に記載されている異状が、次のように公用車の事故と収入未済と錯誤による返還金発生だけ、という県もあります。

××センター
 児童保護措置費および児童福祉施設措置費に係る負担金収入について、令和元年10月末現在の収入未済額(繰 越分)は、前年同期に比べ838,699円増加し、2,492,084円となっているので、なお一層収納の促進に努めるとともに新たな収入未済の発生防止に努められたい。
××学校
 平成30年度高等学校授業料について、就学支援金の受給資格を有していた生徒2名から授業料を誤って徴収 した結果、今年度に118,800円の返還を行った事例が認められたので、今後は適正な事務の執行に努められたい。
××署
 職員の不注意による公用車の事故が9件(県過失割合100%:8件、75%:1件)発生し、保険を含めて936,922円が支払われているほか、公用車1台が廃車予定であり、公用車および相手側に損害が生じている。今後は事故防止に留意するとともに、車両の適切な管理に努められたい。
××署
 職員の不注意による公用車の事故が7件(県過失割合100%:6件、60%:1件)発生し、保険を含めて1,112,671 円が支払われているほか、相手側に損害が生じている。今後は事故防止に留意するとともに、車両の適切な管理に努められたい。
××警察署
 職員の不注意による公用車の事故が4件(県過失割合100%)発生し、保険を含めて1,175,608円が支払われ ている。今後は事故防止に留意するとともに、車両の適切な管理に努められたい。 ××署職員の不注意による公用車の事故が2件(県過失割合100%)発生し、保険を含めて1,218,918円が支払われている。今後は事故防止に留意するとともに、車両の適切な管理に努められたい。

 たしかに、これらの事象は納税者にとっては不本意なものですし、これらを報告することも改善には貢献するかもしれませんが、問題なのは、ここで報告されていることは全て執行側が監査前に把握しているということです。言い換えると、監査要員が発掘した未知の問題ではない、ということです。それがダメだと言っているわけではありません。むしろ、既知の問題でも監査報告に取り上げることで改善が図られることもあるでしょうし、いわゆる3E監査の指摘の多くは既知の問題といっても過言ではありません。問題なのは、監査報告でこの異状を報告することで修復・改善効果が発揮されるのか、ということと、貴重な監査資源を投入するに値することなのか、ということです。
 例えば、公用車の損傷事故を毎年議会へ報告させることにすれば、監査報告で取り上げる必要は皆無です。その意味で、これらの異状を報告することは、執行側の説明責任の代行ともいえるでしょう。執行側の説明責任が重視されるにつれて、監査人が代行する意義は薄れているのではないでしょうか。
 この県の場合、上記の報告は「指摘事項」の範疇で記載され、ほかに「指導事項」(指摘には至らないものの、注意すべきものとして指導した事項は次のとおりである。)、「留意事項」(上記に掲げる事項以外で注意を要するものとした事項は次のとおりである。)、「意見」が記載されており、執行の逸脱などが報告されています。それらの発掘した異状を報告することが、有効な監査の実施につながると思います。

#監査委員読本 目次 第1章 第3章

【監査委員読本】第3章 記載されている指摘が逸脱報告だけの場合〔推敲中〕

 規範に逸脱した執行事績を異状として報告している監査委員の多くが、監査報告に記載するのが逸脱した事績だけにとどまっています。これは、3E監査を行っていないことを意味しています。
 多くの自治体で3E監査を行いたいと願っていても行うに至っていません。それは、3E監査の特質を理解していないことにも理由があります。
 3E監査とは、3E(Economy,Efficiency,Effectiveness)の異状を発掘する監査です。この監査を行うためには地方自治法第199条第2項前段(「監査委員は、前項に定めるもののほか、必要があると認めるときは、普通地方公共団体の事務(‥‥を除く。)の執行について監査をすることができる。」)の権能を行使することが不可欠です。なぜなら、3E監査は財務執行の適否を点検する監査ではないからです。
 では、3E監査とは何を点検するのか。それは、財務執行の結果です。役所が公金で専門家を雇ったり、橋を架けたり、基金を造成したり、アンケートを取ったりすると、その財務執行の結果として公的資源(人的資源・物的資源・金融資源・情報資源)が形成されます。3E監査とは、公金なり、公的資源が十分に活用されているかの監査です。地方自治法第199条第3項は「監査委員は、第一項又は前項の規定による監査をするに当たつては、当該普通地方公共団体の財務に関する事務の執行及び当該普通地方公共団体の経営に係る事業の管理又は同項に規定する事務の執行が第二条第十四項及び第十五項の規定の趣旨にのつとつてなされているかどうかについて、特に、意を用いなければならない。」と規定していますが、「のつとつてなされているかどうか」は執行結果と執行結果に対する姿勢でしか判断できません。言い換えると、執行結果が3Eの観点から問題であり、かつ、その問題に対して執行側が不作為である場合に、3E監査の観点から異状として監査報告に記載することになります。
 具体例を挙げます。次は、ある県の定期監査結果報告に記載されている指摘です。

 使用実績がほとんどない水道について、基本料金を支払っているものがあっ た。
 当校は、旧××小学校の施設、設備を使用しており、校舎等で使用する一般用の水道管とは別に、プール及びスプリンクラー用として水道管(メーター口径 50mm、以下、「プール用水道」という。)が敷設され、プール用水道料の基本料金を隔月で 22,524 円支払っている。
 プール用水道の用途のうち、プールについては、水深が浅く支援学校(高等部単独校)としての利用が困難なことから使用しておらず、また、スプリンクラーについても、校庭には飛散しにくい砂が使われていることもあり使用実績 はなかった。そのため、平成25年4月の開校以来、使用実績は、プール清掃時の4㎥のみとなっていた。
 水道の使用については、一旦中止の電話連絡をすることで基本料金を支払う必要はなくなり、追加的な経費を掛けることなく電話連絡で簡単に再開するこ とができる。
 したがって、有効利用の観点から、プール及びスプリンクラーの利用計画について改めて判断を行い、当面の利用予定がないのであれば、一旦使用中止手続を行い、プールの利用計画が明確になった段階で、改めて使用再開の手続を取ることにより、経済的な執行となるよう改善する必要がある。


 この指摘の基礎は第4段落の「水道の使用については、一旦中止の電話連絡をすることで基本料金を支払う必要はなくなり、追加的な経費を掛けることなく電話連絡で簡単に再開することができる。」という知見です。この知見が一般的であるならば、統制逸脱の指摘になるでしょうし、そもそも、そのような知見が一般的ならば、執行側で改善を図っていたはずです。逆に言うと、3E監査には、財務事務には必要のない知見が必要です。そのためには、地方自治法第199条第8項(「監査委員は、監査のため必要があると認めるときは、関係人の出頭を求め、若しくは関係人について調査し、若しくは関係人に対し帳簿、書類その他の記録の提出を求め、又は学識経験を有する者等から意見を聴くことができる。」)の権能行使が必要になることもあるはずです。
 さらに、監査結果として求めているプールの利用計画を明確にすることは財務事務ではなく教務であり、これを求めることは、一般事務の監査です。筆者が定期監査において行政監査を行う必要があると考えているのは、定期監査で3E異状を発掘するためには財務事務以外の説明を受ける必要があるからです。
 したがって、定期監査を定期財務監査と称して財務監査に限定している監査委員は改める必要があります。もちろん、定期監査では財務監査に限定して、問題があれば改めて行政監査を行うという方法も考えられなくはありませんが、相手にとっても監査負担をいたずらに重くするだけでしょう。ただ、定期監査で処理しきれない、例えば、他の監査箇所でもありそうだ、という場合には、改めて、それなりの監査資源を投入して行政監査を行う必要もあるでしょう。

#監査委員読本 目次 第2章 第4章

【監査委員読本】第4章 報告されている指摘に状況報告と逸脱報告が混在している場合〔推敲中〕

 監査報告に記載されている異状に、収入未済など公的資源の状況と旅費計算の誤りなど執行事績の逸脱が混在している場合があります。この場合、状況報告と逸脱報告それぞれの指摘基準を明確化する必要があります。それは、前者と後者で指摘基準が異なっている必要があるためです。一般に状況報告については金額が大きくなりがちです。例えば収入未済などは、相手があることですし、その縮減には大変な努力を必要とします。一方、旅費の計算間違いは少額でしょう。しかし、再発防止の参考を含んでいれば監査報告で詳述する意義は大きくなります。このように、状況報告と逸脱報告を同じ指摘基準で処理するのは無理があります。
 したがって、状況報告と逸脱報告を異なる指摘基準で処理する必要がありますが、そのためには、報告範疇を異にする必要があります。
 例えば、東京都監査委員は、序章で触れたように、東京都監査委員監査基準第25条第2項で「監査委員は、指摘事項又は意見・要望事項が認められる場合は、その内容を監査等の結果に記載するとともに、必要に応じて、監査等の実施過程で明らかとなった当該事項の原因等を記載するよう努める。」と規定し、監査報告に監査の結果として記載する事項について「指摘事項」と「意見・要望事項」という二つの報告範疇を用意しています。ただ、両者をどう区分しているかは明確にしていません。公式サイトのQ&Aでも「指摘事項とは、是正・改善を求めるもの。意見・要望事項とは、改善について検討を求めるものです。」との説明にとどまっています。もっとも、3E異状は直ちに改善することは困難であるはずなので、「意見・要望事項」になるであろうことは想像できます。
 逸脱発掘監査と3E監査とは異なるとの認識を示しているものとして序章で触れた大阪府監査委員の定めがあります。彼らは、「是正事項」を「法律、政令、省令、条例、規則、規程、要領及びこれらの運用解釈に係る通知等に抵触し、是正を要すると認めた事項」と定め、「改善事項(意見)」を「 効率性・経済性・有効性等の観点から改善を要すると認めた事項」と定めていて二つの監査を明確に分けています。これは多くの監査委員の参考になると筆者は思っています。

#監査委員読本 目次 第3章 

【監査委員読本】付録1 国における報告範疇〔推敲中〕

 主権者の関心が高い公的資源の状況がどうなっているかを公監査機関が議会へ報告するという動きは国の場合、平成9年の法改正が一つの契機となりました。この改正で国会法に改正新設された第105条「各議院又は各議院の委員会は、審査又は調査のため必要があるときは、会計検査院に対し、特定の事項について会計検査を行い、その結果を報告するよう求めることができる。」と会計検査院法に新設された第30条の2「会計検査院は、 各議院又は各議院の委員会若しくは参議院の調査会から国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百五条(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)の規定によ る要請があつたときは、当該要請に係る特定の事項について検査を実施してその検査の結果を報告することができる。」で制度化された国会検査要請が大きかったと思います。もっとも、この行使が毎年のように行われるようになるのは平静17年以降です。
 しかし、平成9年の法改正以前にも動きがありました。その背景として大きかったのは、会計検査院の説明責任を唱えた第29代会計検査院長辻敬一さんですが、その前から伏線が色々とありました。
 昭和30年代には、それまで戦後の混乱期で出張に行くたびに逸脱異状が数多く発掘された事態が終わり、会計検査院法第29条第1項3号に基づく「不当事項」の報告が少なくなり、会計検査院内で会計検査の曲がり角が議論されるようになりました。その結果、昭和37年からは会計検査院法第34条及び第36条が積極的に行使され始めました。
 そして、40年代には有効性検査の強化が図られ、昭和46年には鉄道新線の建設について会計検査院法第36条の規定に基づいて意見を表示しています。
 さらに、従前記載していた会計検査院法に定めはない報告に範疇を設けるようになり、昭和51年からは、従前から記載していた「不当事項」、「意見を表示し又は処置を要求した事項」、及び「本院の注意により当局において改善の処置を講じた事項」という報告範疇のほかに、「特に掲記を要すると認めた事項」という報告範疇を新設し、「事業効果等の見地から問題を提起して事態の進展を図り又は今後の事業運営、経理執行等の参考に資するため特に掲記を要すると認めた事項」を報告するようになりました。
 また、平成3年からは「特定検査対象に関する検査状況」という報告範疇を設け、「本院の検査業務のうち特にその検査の状況を報告する必要があると認めたもの」を報告しています。
 以上の報告範疇は、国会要請事項を除いて毎年作成している決算検査報告に記載する内容ですが、平成17年の会計検査院法改正により、会計検査院が議会と内閣へ随時に報告できるようになりました。現在の会計検査院法第30条の2「会計検査院は、第三十四条又は第三十六条の規定により意見を表示し又は処置を要求した事項その他特に必要と認める事項については、随時、国会及び内閣に報告することができる。」の新設であり、「随時報告」と略称されています。

 ひるがえって、監査委員の場合、議会との関係については地方自治法第98条の2前段で「議会は、監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務(‥‥)に関する監査を求め、監査の結果に関する報告を請求することができる。」と議会請求監査が制度化されており、また、監査の都度、議会と首長へ報告することが制度化されています。そもそも監査報告は必ず議会と首長に提出されることになっていますから、制度に欠けるところはないと言えます。

#監査委員読本 目次

【監査委員読本】付録2 定期監査とは別に行うテーマ監査〔推敲中〕

 ここでいうテーマ監査とは経常監査とは別に行うもので、集中監査、集約監査、動員監査、チーム監査、合同監査などと表現してもよいものです。
 テーマ監査と経常監査を区分する意義は、その差異にあります。経常監査においては、調査官が検査の範囲と深浅を裁量をもって決定することが許されるのに対して、テーマ監査においては、発掘段階の後には検査の範囲と深浅を組織的に決定して検査に取り組むことになります。
 その意味では、テーマ監査は監査要員にとって非裁量的であり、経常監査は裁量的であるとも言えますが、それは経常監査で監査要員に裁量を与えている場合です。
 監査要員が点検表だけに頼った監査は行っているところ、すなわち第1章第1節で述べたような自治体を除いて、少なからぬ自治体で監査要員に裁量性を与えているのでないでしょうか。少なくとも監査報告で新規案件が記載されているような自治体では裁量性を与えているはずです。その意味で経常監査に取り組んでいるところは多いと思います。
 一方、テーマ監査の取り組んでいるところは少ないような気がします。テーマ監査に取り組んだ場合はその監査報告が公表されますので取り組みの有無は明確です。
〔続く〕

#監査委員読本 目次

【監査委員読本】付録3 公監査の基礎知識〔推敲中〕

 公監査の性格を理解していないと監査委員の報告書は、何を言いたいのか理解できませんので、ここでは公監査の基礎知識を説明します。
 まず公監査は議会制民主主義という制度下にあるということです。もっとも、戦前の議会制君主制度下でも公監査は設立します。ポイントは、納税者の代弁者として議会が存在しているか否かです。大日本帝国憲法も例えば第62条第1項で「新ニ租税ヲ課シ及税率ヲ変更スルハ法律ヲ以テ之ヲ定ムヘシ」などと定めていますし、この規定は現行憲法の第84条「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」に相当しますし、現行憲法は、その前提を第83条で「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」と定めています。
 この財政民主主義における公監査には、二つの性格と三つの活動があります。
 一つ目の性格は、信託者の代理人として信託財産の状況を点検して異状を報告する、というものです。このため、信託財産の定期報告書を点検して正否を報告するという活動を行っており、監査委員の場合、「審査」という用語が当てられています。また、定期報告書に記載されているか否かに関係なく信託財産の状況を報告する、という活動も行っており、例えば議会請求監査や首長要求監査はこれに該当します。
 二つ目の性格は、統制者の代理人として統制されている執行の状況を点検して異状を報告する、というものです。この統制には、法律や議会による予算統制もありますし、首長による統制もあります。この性格から、公監査は、点検現場で執行の適否を判断して逸脱を修復する活動を行っています。

#監査委員読本 目次

会計検査院の検査官候補者は議院運営委員会で所信を表明し、質疑を受ける

 1月26日に衆議院議院運営委員会と参議院議院運営委員会は、それぞれ、検査官として内閣が提案した田中氏を参考人として招致し、所信を表明させ、質疑を行った。興味深い質疑は、アウトカムについてのもの。

続きを読む

【報告拝見】支援対象者数の把握が不十分な事象の指摘

 会計検査院は、2月3日に「東日本大震災からの復興等に関する事業の実施状況等について」なるレポートを国会と内閣へ提出した。会計検査院サイトでは「報告のポイント」も掲出しており、「復興庁が公表している避難者数の中には、既に避難を終了したと考えられる者が多数含まれており、復興庁が公表している宮城県の県外避難者数(3年3月10日現在3,670人)は、同県の把握している県外避難者数(同月11日現在87人)と大きくかい離」〔公的資源(情報資源)の不本意事象〕などを取り上げている。
 一方、日経XTECHサイトが2月14日に掲出した「除染などは1者入札多く高落札率、会計検査院が指摘」〔安藤 剛 日経クロステック/日経コンストラクション〕では、「東京電力福島第1原子力発電所事故を受けた除染などの入札で、1者しか参加しなかった案件が約半数を占め、その落札率は高くなる傾向があったことが会計検査院の調査で判明した」ことを取り上げている。

続きを読む

【勧告】愛知県監査委員が政務調査費の返還請求を勧告

 愛知県監査委員は2月13日付けで住民監査請求に係る監査の結果を通知している。その「第5 結論(勧告及び要望)」は次のとおり。

1 勧告
以上述べたとおり、請求人の主張には一部理由があると認められるので、次のとおり知事に対して勧告する。
⑴ ‥‥議員に対し平成29(2017)年度から令和3(2021)年度までに知事が交付した政務活動費のうち、対象事務所の賃借料として充当した額367万5,000円を残余額として算定し、当該残余額の返還を請求すること。
⑵ ⑴の措置は、令和5年3月31日までに講ずること。
2 要望
 前記第4の1⑴ウにおいて述べたとおり、本件問題が発生した一因として、会派及び議員が政務活動費の運用のよりどころとするマニュアルの規定において、その運用解釈に疑義を生じさせる規定の曖昧さがあったことは否めず、かつ、愛知県議会において、これまで検討されてこなかった経緯もある。
 このような状況において、‥‥議員が本件規定の解釈を誤っていたとしても、それを直ちに強く非難することは相当でない。議長に対し、今回の問題提起を機にしてマニュアルの規定を疑義が生じないものに改訂することを要望する。

〔上記引用文中の伏字は引用者によるもの〕
 上記の「規定の曖昧さ」とは次の「第4 監査結果」「1 認定した事実」「⑴ 政務活動費に係る制度及びその運用について」「ウ マニュアルの定めについて」によれば、議会事務局の理解が成立する余地ということのようだ。

 マニュアルは、政務活動費の使途のうち「事務所費」につき、「事務所の購入については、充当は認められない。また、自己(生計を一にしている親族も含む。)所有の事務所に賃借料相当を計上することも認められない」と定めている。
 次に、「マニュアルの規定は、自己又は親族個人が所有する事務所についてのみ禁止しているのであって、自己又は親族が関与する法人が所有する事務所については、それを禁止していないと形式解釈できるのではないか」との見解について、議会事務局に確認した。
 この点、議会事務局からは「自己所有や生計を一にしている親族が所有する事務所の賃借料相当を計上することは、実質的な負担が生じていないものに充当することになるのであって個人的な資産形成につながるおそれがあり、税務上においても、それを経費計上することができないものである。他方、法人が所有する事務所の賃借料の場合は、税務上でも経費計上できるとともに、法人としての収入に計上されるものであることから、個人的な資産形成につながるおそれはないためと考えられるのではないか」との説明が行われた。
 しかし、対象法人が株式会社の場合であって、議員本人及び議員と生計を一にしている親族の所有株式総数が当該株式会社の発行済株式総数の過半数に及ぶようなときには、議員本人及び議員と生計を一にしている親族は、当該株式会社の支配株主として、株式配当又は株価の増加を通じて、個人的な資産形成につながることは十分予想されるわけであって、当該株式会社所有の事務所は、マニュアルが禁止している「自己又は生計を一にしている親族所有の事務所」の趣旨と同一視すべきなのではないかとの視点から、議会事務局に、その検討状況を確認したところ、「これまで愛知県議会において検討されてこなかった」との報告があった。


 この監査結果については、東海テレビサイトに「妻の会社に政務活動費で賃借料は「認められない」愛知県監査委員が県議に367万円返還させるよう知事に勧告」として掲出されている。

【Integrity】福島市監査委員の監査基準準拠度はC→A→YA→YB→YB+

  福島市監査委員が作成している福島市監査基準は、「監査等の結果に関する報告等への記載事項」について定めている第21条の第1項第1号で、監査等の結果に関する報告等には、原則として「本基準に準拠している旨」を記載するものとする、と定めている。
 しかし、福島市監査委員が作成している令和4年12月28日付けの監査報告にも、令和3年度福島市各会計歳入歳出決算及び基金運用状況審査意見書にも監査基準という文言は見当たらない。
 したがって、福島市監査委員は監査基準を忘却していることから、その監査基準準拠度の判定はCとなる。

 ちなみに、福島市監査委員は福島市監査基準で財務監査の目的を「財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること」(第4条第1項第1号)としており、その報告には、「前項第1号から第6号までの記載事項のとおり監査した限りにおいて、監査の対象となった事務が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めていること」が「重要な点において」「認められる場合にはその旨」を記載(第21条第2項第1号)し、「重要な点において」「認められない場合にはその旨を」監査の結果として記載(第21条第3項)するものとすると定めている。
 しかし、上記の監査報告では異状を列挙しているだけで、これらの宣言をしておらず、自らが定めている監査の目的を理解しないまま監査報告を作成している。

参考:全都道府県・全政令指定都市一覧全国中核市の一覧

続きを読む

【Integrity】いわき市監査委員の監査基準準拠度はS-→XA→XB→XB+

 いわき市監査委員が作成しているいわき市監査基準は、「監査等の範囲及び目的」を定めている第2条の第1項第1号で「財務監査」の目的を次のとおり定めている。

 財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理が法令に適合し、正確で、経済的、効率的かつ効果的に行われているか監査すること

 この3Eの表現は総務省監査基準案が提案している次の文章より洗練されている。

 財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること

 そして、「監査等の結果に関する報告等への記載事項」を定めている第15条の第2項第1号で、財務監査の結果に関する報告には、重要な点において次が認められる場合にはその旨を監査の結果として記載するものとするとし、同条第3項では、重要な点において当該各号に定める事項が認められない場合にはその旨を監査の結果として記載するものとするとしている。

 前項第1号から第5号までの記載事項のとおり監査した限りにおいて、監査の対象となった事務が法令に適合し、正確で、経済的、効率的かつ効果的に行われていること

 いわき市監査委員が4年11月22日に公表している監査報告についてみると、監査箇所別に次のように監査結果を記載している。

 財務に関する事務等の処理状況は、おおむね法令に適合し、正確で、経済的、効率的かつ効果的に行われていると認められたが、次のとおり一部に改善を要する事項が認められたので、内容を十分把握し、それぞれ必要な措置を講じ、今後の事務処理に万全を期されたい。
 なお、事務処理上留意すべき点で軽易なものについては、口頭で留意又は改善を促した。

 財務に関する事務等の処理状況は、おおむね法令に適合し、正確で、経済的、効率的かつ効果的に行われていると認められたが、次のとおり一部に改善を要する事項及び検討を要する事項が認められたので、内容を十分把握し、それぞれ必要な措置を講じ、今後の事務処理に万全を期されたい。
 なお、事務処理上留意すべき点で軽易なものについては、口頭で留意又は改善を促した。

 これらの記載は「重要な点において」や「監査した限りにおいて」の文言は用いていないものの監査基準との整合性を図ろうとはしており、また、監査基準も総務省案の丸写しではなく、検討した上で作成していることから、いわき市監査委員の監査基準準拠度の判定はS-となる。

 ちなみに、アドバイスをしておくと、3E監査は、事務執行の事績を指摘するものではなく、公的資源の活用度が低い事象を指摘するものであることから、監査対象事務が経済的、効率的かつ効果的に行われているか、という観点からは指摘は困難となるはずである。現に、上記の報告に記載されている指摘は、統制逸脱か統制不備である。

参考:全都道府県・全政令指定都市一覧全国中核市の一覧

続きを読む

【Integrity】高知市監査委員の監査基準準拠度はB→YC→YBー

 高知市監査委員が作成している高知市監査基準は、「監査等の範囲及び目的」を定めている第2条の第1項第1号で「財務監査」の目的を次のとおり定めている。

 財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理が法令に適合し,正確で,最少の経費で最大の効果を挙げるようにし,その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。

 そして、「監査等の結果に関する報告等への記載事項」を定めている第16条の第2項第1号で、「財務監査」の結果に関する報告には、重要な点において次が認められる場合にはその旨を監査の結果として記載するものとし、同条第3項では、重要な点において次が認められない場合にはその旨を監査の結果として記載するものとするとしている。

 前項第1号から第5号までの記載事項のとおり監査した限りにおいて,監査の対象となった事務が法令に適合し,正確に行われ,最少の経費で最大の効果を挙げるようにし,その組織及び運営の合理化に努めていること。

 しかし、高知市監査委員は、令和3年度定期監査等結果報告書では、「第4 監査の結果」の冒頭を次のように記載しており、「重要な点において」や「監査した限りにおいて」などの留保もなく、監査基準に準拠しているとは言い難い。

 監査した結果,財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理並びに事務の執行については,おおむね適正に執行されているものの,後述のとおり一部に改善又は検討を要する事項が認められた。
 これらについては,その内容を十分に検討し,速やかに必要な措置を講ずるなど,今後の適正な事務事業の執行に万全を期されたい。
 また,監査の過程において,事務手続上の軽微な誤り等が見受けられたが,指導事項として別途各部局長等に通知し,又は口頭で指導等を行っているので留意されたい。

 したがって、高知監査委員の監査基準準拠度の判定はBとなる。

参考:全都道府県・全政令指定都市一覧全国中核市の一覧

続きを読む

【Integrity】高松市監査委員の監査基準準拠度はC→YC→YBー

 高松市監査委員が作成している高松市監査基準は、「監査等の結果に関する報告等への記載事項」を定めている第21条の第1項第1号で「監査等の結果に関する報告等には、原則として」「本基準に準拠している旨」を記載するとしている。
 しかし、「令和4年度監査結果報告書(定期監査・行政監査)」にも「令和3年度高松市一般会計・特別会計歳入歳出決算審査意見書」にも、監査基準の文言はなく、高松市監査委員は監査基準の存在を忘却している。
 したがって、高松市監査委員の監査基準準拠度の判定はCとなる。
 ちなみに、高松市監査基準は、「監査等の種類及びそれぞれの目的」を定めている第4条の第1項第1号で「定期監査(法第199条第4項)」の目的を「市の財務に関する事務の執行及び市の経営に係る事業の管理が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げているか、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること」と定め、第21条第2項及び第3項では、「定期監査及び随時監査」の結果に関する報告には、重要な点において次が認められる場合にはその旨を、重要な点において次が認められない場合にはその旨を、監査の結果として記載するとしている。

 前項第1号から第6号までの記載事項のとおり監査した限りにおいて、監査の対象となった事務が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めていること

 しかし、上記の定期監査の報告では「5 監査の結果」を次のように記載していて、自らが定めている監査の目的を高松市監査委員が失念していることを示している。

 監査の結果、事務の執行については、おおむね適正に処理されていたが、別記のとおり、その一部に改善を要する事項が認められた。
 当該事項について措置を講じたときは、地方自治法第199条第14項の規定により、その旨を監査委員に通知されたい。
 なお、通知は、監査結果を公表した日から起算して6か月を経過する日の属する月の末日までを目途に行われたい。
 今後とも市民の信頼を得られるように、法令等を遵守し、より一層、厳正かつ適切な事務の執行に努めるべきであることのほか、監査委員の意見を別記のとおり付するものである。



参考:全都道府県・全政令指定都市一覧全国中核市の一覧



続きを読む

【Integrity】豊田市監査委員の監査基準準拠度はB→YB→YBー

 豊田市監査委員が作成している豊田市監査基準は、「監査等の範囲及び目的」を定めている第2条の第1項第1号で「財務監査(地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第199条第1項)」の目的を次のように定めている。

 財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。

 しかし、豊田市の監査のページ定期監査のページでは、財務監査を行う定期監査を次のように説明していて、監査基準で定めている財務監査の目的を忘却している。

 定期監査では、市の財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理について、適法又は適正に執行管理されているかどうかについて、監査します。

 上記の監査の目的を踏まえて、豊田市監査基準は、「監査等の結果に関する報告等への記載事項」を定めている第15条の第2項第1号で、財務監査の結果に関する報告には、重要な点において次が認められる場合にはその旨を監査の結果として記載するものと定め、第3項では重要な点において次がが認められない場合にはその旨を監査の結果として記載するものと定めている。

 前項第1号から第5号までの記載事項のとおり監査した限りにおいて、監査の対象となった事務が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めていること。

 しかし、令和4年9月30日付けで提出している監査報告では、「4 監査の結果」の冒頭を次のように記載しており、監査基準で定める「重要な点において」の留保もなく妥当性を宣言しており、また、3Eの観点も欠如していて監査基準に準拠しているとは認め難い。

 監査の方法に基づき監査を実施した限りにおいて、適正に処理されているものと認められた。
 ただし、以下のとおり、是正を要する事項【指摘】及び改善を求める事項【意見】が見受けられたので、速やかに所要の措置を検討し、実施するなど、再発防止又は改善に向けた取組を求める。あわせて、監査の過程における助言についても、参考とされたい。

 したがって、豊田市監査委員の監査基準準拠度の判定はBとなる。
 ちなみに、決算審査についても同様で、監査基準では目的を「決算その他関係書類が法令に適合し、かつ、正確であるか審査すること。」(第2条第1項第4号)とし、審査の意見としては、重要な点において決算その他関係書類が法令に適合し、かつ、正確で あることが認められるか否かを審査結果として記載するとしているのに、令和3年度豊田市決算等審査意見書では、「令和3年度豊田市一般会計・特別会計決算審査」の「第3章 審査の結果及び所見」の冒頭を次のように記載していて、監査基準に基づく記載を行っていない。

 令和3年度豊田市一般会計及び豊田市国民健康保険特別会計始め10特別会計の決算について、地方自治法その他の関係法令の規定に基づき審査した結果、決算書等は適法かつ正確に作成されているものと認められた。



参考:全都道府県・全政令指定都市一覧全国中核市の一覧

続きを読む

【Integrity】川口監査委員の監査基準準拠度はC→YC

 川口市監査委員が作成している川口市監査基準は、「監査等の結果に関する報告等への記載事項」を定めている第15条の第1項第1号で、監査等の結果に関する報告等には、原則として「本基準に準拠している旨」を記載するものとするとしている。
 しかし、4年12月1日付けで公表している定期監査報告令和3年度川口市一般会計及び特別会計歳入歳出決算審査意見には監査基準への言及がない。
 したがって、川口市監査委員は監査基準、少なくとも報告基準を一顧だにしていないことから、その監査基準準拠度の判定はCとなる。
 ちなみに、川口市監査委員は、監査基準第15条第2項及び第3項で、監査報告には監査結果として、監査対象の妥当性を認否することとしているが、上記の監査報告は認否に当たって、監査基準に定める「重要な点において」「監査した限りにおいて」などの留保を行っていない。

参考:全都道府県・全政令指定都市一覧全国中核市の一覧

続きを読む

ブログ内検索
カテゴリー
参考リンク
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
RSSフィード
プロフィール

reticent_auditor

  • Author:reticent_auditor
  • 寡黙な監査人
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる