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【Integrity】船橋市監査基準の監査基準準拠度はB

 船橋市監査委員が策定している監査基準は、「監査等の結果に関する報告等への記載事項」を定めている第15条の第1項第2項で監査報告には「監査等の種類」を記載するとしている。
 しかし、5月13日報告の監査報告には、「地方自治法第199条第2項及び第4項の規定に基づく監査」との表現はあるが、監査基準における表現を用いた監査の種類は記載されていない。ただ、公式サイトで「定期監査(財務監査・行政監査)」というページを設けており、この表現で、「定期監査」が監査基準に言う財務監査と行政監査を包含する概念であることを監査報告利用者に理解してもらおうとしているようだが、そのこと自体、監査基準を策定する趣旨が監査報告利用者の理解するためのものであるという趣旨を船橋市監査委員が理解していないことを示している。
 また、監査基準で「監査等の範囲及び目的」を定めている第2条の第1項では、財務監査及び行政監査の目的を、それぞれ監査の対象である「財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理」又は「事務の執行」「が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること」としている。そして、第15条第2項及び第3項では、財務監査と行政監査の監査報告には、監査の結果として、報告書記載の「とおり監査した限りにおいて、監査の対象となった事務が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めていること」が「重要な点において」「認められる場合にはその旨」を、認められない場合はその旨」を、それぞれ「監査委員が必要と認める事項」とともに記載するとしている。つまり、その宣言を行うことで監査の目的を達しようとしている。
 しかし、上記の監査報告の「第6 監査の結果」では、監査した対象組織の別に「各課等の主な仕事及び予算の執行状況」を示す「1」と「2 監査の結論」を記載した部分に分かれているが、その「監査の結論」の冒頭は次のように記載されていて、監査基準で記載するとしていた妥当性認否の宣言は行っていない。

 監査した結果、次のとおり改善を要する事項が見受けられた。


 船橋市監査委員は報告する異状の範疇について、監査基準第15条第4項で次のとおり「是正又は改善が必要である事項」と定めており、これと異なる表現で監査報告を作成することは監査基準に準拠する意思が存在しないのだと思う。

 監査委員は、是正又は改善が必要である事項が認められる場合、その内容を監査等の結果に記載するとともに、必要に応じて、監査等の実施過程で明らかとなった当該事項の原因等を記載するよう努めるものとする。


 したがって、船橋市監査委員の監査基準準拠度の判定はBとなる。

【Integrity】旭川市監査委員の監査基準準拠度はB

 旭川市監査委員は、その監査基準において、「監査等の種類及び目的」を定めている第2条の第1項第1号で財務監査(定期監査と随時監査の総称だとしている)の目的を次のように定めている。

 財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理が法令に適合し,正確で,最少の経費で最大の効果を挙げるようにし,その組織及び運営の合理化に努めているかどうかについて監査すること。


 そして、「監査等の結果に関する報告等への記載事項」を定めている第15条の第2項及び第3項で財務監査の報告には監査の結果として、報告書に記載「のとおり監査した限りにおいて,監査の対象となった事務が法令に適合し,正確に行われ,最少の経費で最大の効果を挙げるようにし,その組織及び運営の合理化に努めていること」が「重要な点において」「認められる場合にはその旨」を、「認められない場合にはその旨」を、「その他監査委員が必要と認める事項」とともに記載するとしている。
 しかし、6月8日付けで提出している「監査結果報告書 令和4年度(2022 年度)No.1 定期監査(上期)」には、上記のいずれの記載もない。したがって、旭川市監査委員の監査基準準拠度はBとなる。

【Integrity】久留米市監査委員の監査基準準拠度はC

 久留米市監査委員が制定している監査基準は、「監査等の種類及びそれぞれの目的」を定めている第4条の第1項第1号及び第2号で「財務監査(法第199条第1項)」及び「行政監査(法第199条第2項)」の目的を次のとおりとしている。

 財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること


 さらに、「監査等の結果に関する報告等への記載事項」を定めている第21条では、第1項で「本基準に準拠している旨」「監査等の種類」等を記載することとし、第2項及び第3項で、財務監査と行政監査の結果報告には、監査の結果として、報告書記載の「とおり監査した限りにおいて、監査の対象となった事務が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めていること」が重要な点において認められた場合はその旨を、認められない場合はその旨を記載すると定めて、妥当占認否宣言を行うこととしてる。
 しかし、4月22日付けで公表している財務監査及び事務監査の報告では、監査基準にはない「事務監査」の文言を使うとともに、監査基準で監査報告に記載することとしている監査基準に準拠した監査報告であること、監査の種類などの記載はなく、また、妥当性認否の宣言も行っておらず、監査基準を全く忘却しているため、監査基準準拠度はCとなる。

【Integrity】鳥取市監査委員の監査基準準拠度はB

 鳥取市監査委員が制定している監査基準は、「監査等の種類及びそれぞれの目的」を定めている第4条第1項第6号で「財政援助団体等に対する監査(法第 199 条第7項)」の目的を次のように定めている。

 補助金、交付金、負担金等の財政的援助を与えている団体、出資している団体、借入金の元金又は利子の支払を保証している団体、信託の受託者及び公の施設の管理を行わせている団体の当該財政的援助等に係る出納その他の事務の執行が当該財政的援助等の目的に沿って行われているか監査すること。


 そして、「監査等の結果に関する報告等への記載事項」を定めている第21条第2項及び第3項で。その監査結果の報告には、監査の結果として、重要な点において次が認められる場合にはその旨を、認められない場合にはその旨を、、その他監査委員が必要と認める事項とともに記載するとしている。

 前項第1号から第6号までの記載事項のとおり監査した限りにおいて、監査の対象となった財政援助団体等の当該財政的援助等に係る出納その他の事務の執行が当該財政的援助等の目的に沿って行われていること。


 しかし、

令和4年度指定管理者監査報告書

では、監査結果の冒頭を次のように記載しており、監査基準に準拠しておらず評価はBとなる。

 監査の結果は、おおむね適正に執行されているものと認められた。
 指摘事項は次のとおりであり、今後、適正な事務処理を行われたい。
 なお、事務処理上の軽易な過誤等については、注意事項として文書により、またはその都度、関係者に対し指示・注意を行った。

【Integrity】西宮市監査委員の監査基準準拠度はB

 西宮市監査委員は、その監査基準第4条で「監査等の種類及びそれぞれの目的」を定めており、第1項第1号で財務監査(法第 199 条第1項)の目的を次のように定めており、第2項で、これを定期監査(法第 199 条第4項)又は随時監査(法第199 条第5項)として実施することとしている。

 財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。


 したがって、この判断ができないことは監査の目的を達しないことになる。そこで、「監査等の結果に関する報告等への記載事項」を定めている第21条の第1項及び第2項では、財務監査の報告には、監査の結果として、重要な点において次が認められる場合にはその旨を、また、認められない場合はその旨を、その他監査委員が必要と認める事項とともに記載するとしてしている。

‥‥とおり監査した限りにおいて、監査の対象となった事務が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めていること


 しかし、6月13日付けで公表している定期監査の報告には、これらの記載はなく、監査基準の準拠度の評価はBとなる。

【Integrity】水戸市監査委員の監査基準準拠度はB

 水戸市監査委員は、その監査基準第4条第1項第1号で、財務監査の目的を「財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理が法令に適合し,正確で,最少の経費で最大の効果を挙げるようにし,その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること」とし、第2項で財務監査は,定期監査又は随時監査として実施すると定めている。その上で、第21条第2項及び第3項で、財務監査の監査報告には、監査の結果として、報告に記載した「とおり監査した限りにおいて,監査の対象となった事務が法令に適合し,正確に行われ,最少の経費で最大の効果を挙げるようにし,その組織及び運営の合理化に努めていること」が、「重要な点において」「認められる場合にはその旨」を、「認められない場合にはその旨」を、「その他監査委員が必要と認める事項」とともに記載するとしている。
 しかし、水戸市監査委員が4月26日に公表した「令和3年度 定期監査等報告書」には「監査基準」の記載はあるものの、定期監査の結果としては「特記すべき事項はなかった。」の記載又は異状の報告があるだけで、この妥当性認否宣言の記載はない。よって監査基準準拠度はBの判定となる。

【Integrity】呉市監査委員の監査基準準拠度はB

 呉市監査委員は、3月28日付けで監査基準の改正を公表しているが、監査結果の記載について、総務省監査基準案に戻すという興味深い改正を行っている。改正前の第18条第2項は次のとおりで、総務省監査基準案が第15条で第2項及び第3項として項を分けて記載している内容を一つの項にまとめるており、読み易い規定ぶりであった。

 前項第6号の監査等の結果には,前項第1号から第5号までの記載事項のとおり監査等を行った限りにおいて,次の各号に掲げる監査等の種類に応じて,重要な点において当該各号に定める事項が認められる場合にはその旨を,認められない場合にはその旨を,及びその他監査委員が必要と認める事項を記載するものとする。


 この規定を第2項及び第3項に分けているわけだが、おそらく、監査基準に準拠していないのではないか、という素朴な疑問が寄せられたからであろう。改正前の監査の結果の記載は、「改善又は検討を要望する事項は,次のとおりである。」とか「改善又は検討を要望する事項は,次のとおりである。」と記載していて、監査基準に準拠していないことが明確になる。おそらくは、監査の継続性を重視して監査報告の記載は従前どおりとするために、監査基準に準拠していないことが不明確になるような改正をしたのであろう。どうせ改正をするなら、妥当性認否宣言を行わないという改正にすればよかったのに‥‥。

【Integrity】吹田市監査委員の監査基準準拠度はS

 吹田市監査委員は、その監査基準第18条第3項で「財務監査及び行政監査並びに工事監査」の監査報告には、監査の結果として、報告書に記載した「とおり監査を行った限りにおいて、監査の対象とした事務等が法令に適合し、正確で、経済的、効果的かつ効率的に実施されていたかどうか」を記載するとしている。この規定の仕方は、総務省の監査基準案の妥当性認否宣言の規定に倣いつつ、それよりも公用文らしい明確な規定ぶりと評価できる。
 そして、令和3年度(2021年度)監査結果報告書に記載した「第3 財務監査及び行政監査(定期監査)」の「4  監査の結果」は(1)と(2)に分かれていて、その(1)の冒頭は次のように記載していて、自らが定めた監査基準に準拠している。

⑴ 上記の第1及び第3の1から3までの記載事項のとおり監査した限りでは、重要な点においておおむね、監査の対象とした次に掲げる事務が法令に適合し、正確に、最少の経費で最大の効果を挙げるように行われ、監査対象部局がその組織及び運営の合理化に努めていると認めました。ただし、エ及びクに掲げる事務については、⑵に記載の是正を要する事項が見受けられました。


 よって、監査基準を自らの工夫をしつつ策定し、かつ、それに準拠した監査報告を作成していることから、吹田市監査委員の監査基準準拠度はSとなる。

【Integrity】高槻市監査委員の監査基準準拠度はB

 高槻市監査委員は、その監査基準第16条第2項及び第3項で、財務監査と行政監査の報告には、監査の結果として、報告に記載した「とおり監査した限りにおいて、監査の対象となった事務が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めていること」が「重要な点において」「認められる場合にはその旨」を、「認められない場合にはその旨」を、「その他監査委員が必要と認める事項」とともに記載するとしている。
 しかし、「令和3年度監査結果報告書」に記載されている「定期監査結果報告」は財務監査及び行政監査の報告であるのに、その監査の結果の冒頭は次のように記載されていて、以降にも監査基準に定めた記載は行っていない。したがって、高槻市監査委員の監査基準準拠度はBとなる。

 各部等とも監査した結果、次に掲げる指摘事項を除き、おおむね適正に事務が執行されていた。その他、指摘事項には至らなかったが、監査を執行する中で改善、検討を要する事項については、その旨指示した。

【Integrity】監査基準に準拠した一宮市の監査報告はA-

 一宮市監査委員は、その監査基準第4条第1項で「財務監査」「行政監査」を、第2項で財務監査を行うものとして「定期監査」をそれぞれ規定している。そして、第20条第2項及び第3項で、財務監査及び行政監査の監査報告には、監査の結果として、報告に記載した「とおり監査した限りにおいて、監査の対象となった事務が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めていること」が「認められる場合にはその旨」を、「認められない場合にはその旨」を「その他監査委員が必要と認める事項」とともに記載するとしている。
 一宮市監査委員が6月3日付けで公表した「定期監査及び行政監査結果報告」では、「第2 監査の結果」の冒頭を次のように記載している。

 以上のとおり監査した結果、監査の対象となった事務が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めていることがおおむね認められたものの、以下に述べるとおり一部で留意し改善する必要がある事項(留意事項)が認められたので、今後の適正な事務事業の執行に万全を期されたい。なお、口頭で注意を促した軽微な事項については、記載を省略する。


 監査基準にいう「重要な点において」を「おおむね」との表現に変更しているため、Aとは評価し難くA-となる。

【Integrity】金沢市監査委員は監査基準に準拠せずに監査報告を作成していてC

 金沢市監査委員は、その監査基準第21条第1項で監査報告には原則として「本基準に準拠している旨」、「監査等の種類」を記載するとしている。
 しかし、4月1日付けで公表している財務事務等監査の報告には、両者の記載はない。「監査基準」の文言は公表文には「金沢市監査基準(令和 2年監査公表第 3号)に準拠し実施した財務事務等監査の結果に関する報告を次のとおり決定したので、同条第 9項の規定により当該報告を公表します。」と言及があるが、「次」の監査報告には記載がない。また、「財務事務等監査」の文言はあるが、この表現は監査基準で監査の種類を定めている第4条第1項にはなく、慣行的な表現と思われる。
 さらに、監査基準第21条第2項及び第3項では、財務監査の報告には、監査の結果として、報告に記載した「とおり監査した限りにおいて、監査の対象となった事務が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めていること」が「重要な点において」「認められる場合にはその旨」を、また「認められない場合にはその旨」を、「その他監査委員が必要と認める事項」とともに記載するとしている。しかし、「認められた旨」の記載も「認められない旨」の記載もない。基準では財務監査の目的を「財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理が法令に適合し、正確で、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること」(第4条第1項第1号)としていることから、これらの記載がないということは監査の目的を達成していないとの評価を受けるのも止むを得ない。

【報告拝見】さいたま市監査委員の監査報告

 さいたま市監査委員〔監査基準準拠度B〕の4月28日付け監査報告は、統制逸脱事案9件、統制不備事案2件を報告している。3E異状の報告はない。

【報告拝見】呉市監査委員は監査報告を議会へ提出する意識に乏しい

 呉市監査委員の6月6日付け監査報告は複数の監査報告を合冊したものとなっている。監査対象を予算の配布を受ける部局の別に分け、その部局ごとに監査報告を作成している。おそらく部局の長に監査報告を送付することとしていて、作成の便宜上、それらを合冊した監査報告としているのだろう。
 この方法は作成の便宜を優先して読者(議員と市長)の便宜を考慮していないと理解できる。読者は「3 監査の対象」や「4 監査の方法」を繰り返して読まされ、監査報告の全体像もつかめない。
 異状報告は「改善又は検討を要望する事項」として記載され、それなりの記載量はあるが、いずれも末尾を「ついては,受注者に対して,契約書等の内容を遵守するよう指導されたい。」のように検査対象に対する要求として記載している。
 もう少し、議会へ提出する文書であるという意識を持つべきと思う。

【報告拝見】兵庫県の5月31日付け監査報告は充実している

 兵庫県監査委員(監査基準準拠度S)が5月31日付けで提出した監査報告は、知事への提出文を裏表紙で示している。このことは、監査報告の利用者として最高統制責任者(知事)だけを意識していて、議会を意識していないことを示している。それを示すかのように、「第2 監査の結果」「1 総括」は次のように統制強化を期待する文言で締め括られている。

 上記を踏まえて、事務執行を適正・適切に推進していく上で特に必要と思われる項目を「留意・改善・要望事項」として取りまとめたので、特段の配意を願いたい。


 報告の提出先として議会を意識していれば、このような文言にはならなかったであろう。
 報告には、24機関について63件の「指摘事項」があったとされ、さらに、5件の「留意・改善・要望事項」が記載されている。「指摘事項」は最初に統制規範別・部局別の件数一覧と主なものを記したのち、部局別に記述していて、件数一覧にはページ数も示していて読者の利便を考慮したものとなっている。また「留意・改善・要望事項」は部局別ではなく、主な「指摘事項」に続いて記述されていて、その末尾は全て「‥‥取組を強化されたい。」という要求の表現になっていて、最高統制責任者又は統制責任者に対する要望となっている。この表現が前例になると、事象報告である3E異状報告は困難であろう。例えば「取組の強化が望まれる」という表現がとられていれば、3E監査の報告範疇として役に立つだろう。
 内容についてみると、「指摘事項」は統制逸脱と不本意事象であり、不本意事象は、多額の収入未済と公用車の損傷である。また、「留意・改善・要望事項」は統制強化(不本意事象解消努力を含む。)を求めるもの(統制不備)である。
 注目すべき報告は、「予算執行」の統制を逸脱しているとの指摘が10件あること、うち4件は事故繰越に関する指摘であり、それを踏まえて次の「留意・改善・要望事項」を行っている。

 事故繰越しした工事請負契約の増額変更に係る支出負担行為を行っていたものや予算令達額が不足しているにもかかわらず契約していたもの、予算令達額を超過した執行など、予算執行に当たっての基本的なルールを逸脱していた事例があった。
 支出負担行為は、県が支出の義務を負うこととなる、予算執行の第一段階の行為であり、これに瑕疵があると、その後の手続にまで影響を及ぼすものであることから、支出負担行為を単なる形式的な支出開始手続と捉えることなく、その重要性を再認識し、厳格に運用されるよう徹底されたい。
 また、執行に当たっても、当該支出負担行為が法令又は予算に違反していないこと等を確認した上でなければ、支出をするとして次のものもあることができないという基本原則に立ち返った事務処理を徹底するとともに、本庁主管課との連絡調整も密にするなど、再発防止に努められたい。


 ただ、指摘している4件がこの再発防止策で防止できるかは疑問である。同様に、他の予算執行の指摘にも、他の事務の遅延のしわ寄せが予算執行事務に影響したものもあり、適正な執行を実行できたのか(実行可能性があったのか)は疑問のものもある。
 なお、23ページに記載されている次の「指摘事項」は筆者にはどのような指摘なのか理解できなかった。

 令和3年度課外活動運営事業委託において、契約締結後の令達予算の引上げに伴い、3年8月2日から9月30日までの間、予算額が不足(不足額100,000円)していた。


 ちなみに、この指摘以外は分かりやすく記載されており、3E異状報告が可能な記載量となっていて、その端緒となるような「指摘事項」も次のように23頁に存在する。

 令和3年度のまちづくりガーデナーマスターコースにおける受講生の定員に対する割合が45.0%と著しく低調である。


 この記述は、収入未済と同様な不本意事象としての記述となっている。もとより、3E監査の観点がなければ、このような報告はないと思うが、議会を意識していれば、もっと情報量は増えるはずであり、その意味で、最高統制責任者への注意喚起の域を出ていないといえよう。

【報告拝見】豊橋市監査委員は統制不備も積極的に報告している

 豊橋市監査委員が5月27日付けで提出した監査報告には、「指摘事項」として統制逸脱が、「意見」として統制不備と3E異状が記載されている。なかには、次のように「指摘事項」とした事案について「意見」を記載しているものもある。

指摘事項
1 補助金交付事務について
 ブロック塀等撤去費補助金において、補助金の交付要件を満たしていないにもかかわらず補助金を交付している事例が見受けられたので、当該補助金の返還手続きを進めるとともに、実績報告の審査に当たっては、必要に応じて現地確認を行うなど、適正な補助金交付事務をされたい。


意見
‥‥
2 補助金交付事務について
 ブロック塀等撤去費補助金において、補助金の交付要件が不明確なため、明確な基準もないまま、要件に該当するか否かを個別に判断している事例が散見された。また、ブロック塀の土留めとなっている部分を、補助金交付要綱に規定する「擁壁等」として判断していた事例が見受けられた。補助金の交付要件及び「擁壁等」とした判断について、補助金の交付要件等の判断基準を明確化するなど、公平な補助金交付事務の執行に努められたい。


【報告拝見】富山市監査委員における統制不備の指摘

 富山市監査委員が4月に実施した監査の結果に次の意見が記載されている。

 地区コミュニティセンターと公民館の機能を併せ持つ施設において、公民館としての使用が可能である使用申請についても、地区コミュニティセンターとして使用承認をしているものが見受けられた。
 このような施設については、市長と教育委員会のどちらが使用承認を行うかなどの明確な定めは無いが、統一的なルールが示されていないことで施設間や地域間の取扱いの差が生じている。
 また、地区コミュニティセンターの所管である市民生活相談課が購入し、実際の管理は公民館で行う備品について備品台帳が作成されていないといった事例も見受けられた。
 これらのことから、地区コミュニティセンターや公民館等について、その管理の在り方や関係部局との調整を検討されたい。


 有意義な報告と思う。惜しむらくは、問題の背景などをもう少し記載していれば、3E異状の報告になったのではなかろうか。

【報告拝見】船橋市監査委員は監査報告の利用者として議会を想定していないようだ

 船橋市監査委員が5月13日に公表した監査報告の「第6 監査の結果」には、「改善を要する事項」が監査対象部局に記載されているが、その前に監査対象の概要が置かれていて一覧性を欠いた報告となっている。ちなみに、監査基準第21条第4項にある「是正又は改善を要する事項」との表現は用いられておらず、他の報告では「監査した結果、改善を要する事項は見受けられなかった。」との表現も行われている。
 その「改善を要する事項」は「指摘事項」と「要望事項」の別に記載されており、指摘事項は「第4 監査の着眼点」で示した監査対象財務事務の分類に従った標題を付してある。このうち、要望事項は複数の未統制な事案について統制を求める趣旨であり統制不備の指摘であるが、異なる部署で次の同一の要望事項が記載されている。

 業務委託契約において、契約書の規定により発注者が受注者に対し、提出また は通知、あるいは報告を求めているものの、当該提出等を確認できない契約が見られた。契約書の作成にあたっては、提出物等について必要なものかどうか精査し、契約書に規定した内容については確実に履行されるよう要望する。


 監査結果を部局の別に整理していることから同一の記載を行っているわけだが、そもそも部局の別に監査結果を記載することは、監査報告の利用者として議会と最高統制責任者(市長)を念頭に置いておらず、統制責任者(部長)に対する監査結果の通知としてしか理解していないことを示すものと思う。いかがなものか。

【推奨事案】北海道監査委員が報告する財援等団体監査の結果

 北海道監査委員(監査基準準拠度B)が5月19日に公表した「令和2年度(2020年度)財政的援助団体等監査結果報告書」には、「指摘事項」3件、「指導事項」18件、「検討事項」2件が報告されている。
 指摘事項のうち次の事案は興味深い。

 道の補助事業の執行については、補助事業者等は善良な管理者の注意をもって行わなければならないが、補助事業の執行に当たり、補助事業者は大部分の業務を他の団体に担わせ、進捗状況も把握しておらず、帳簿も一部を除き他の団体が保存しているなど、適切とは認められない補助事業の執行体制となっていた。
 また、補助金交付申請において、団体の議決機関に予算案を提出することを確約していたが、これを行っていなかった。
 さらに、正味財産増減計算書には、当該年度における正味財産の全ての増減内容を明瞭に表示しなければならないが、補助事業に係る収入と支出を含めていなかった。


 指導事項のうち次の事案は、実績額が超過していたのと想像する。

 私立幼稚園等管理運営費補助金において、補助事業等が完了したときは、補助事業等実績報告書に事業決算の内容を記載した事業精算書を添付し、知事に提出しなければならないが、事業精算書に決算額ではなく、予算額を記載して提出しているものがあった。


 検討事項2件はいずれも他自治体でもあり得ると思う。

(1) 職業病・労働災害対策事業において、補助事業者は研修や講習会の受講料収入を得ているが、道は、補助事業の財源として、道費補助金以外の収入金がある場合の取扱いについて定めていないことから、当該補助事業に係る補助金の算定における受講料収入の取扱いについて検討する必要がある。
(2) ぐるっと北海道・公共交通利用促進補助事業において、補助対象経費は割引乗車券等の販売に際し、購入者に対して割引した額などとされ、団体は、印刷製本に要した経費などのほか、販売時の割引額と同額の補助金の交付を受けている。
 一方、団体やタクシー事業者等においては、販売した割引乗車券等の利用に応じた精算を行っており、この結果、割引乗車券の購入者が使用しなかった当該乗車券の券面金額相当額が、精算を行う事業者等において残留していることから、その取扱について検討する必要がある。




【報告拝見】新潟県監査委員は不適切事務と不本意事象を報告

 新潟県監査委員(監査基準準拠度B)が4月26日に公表した監査報告では、次の「指摘事項」が報告されている。

 需用費の支払について、納入された教材の履行確認を行っていなかったため、教材の入った箱に同封されていた請求書に気付かなかったことにより、支払遅延となり、さらに令和2年度予算で支出すべきところ、令和3年度予算で支出していたものがあった。
 支払遅延については、前回監査において、同様の不備があり、注意したにもかかわらず、今回も改善されていなかった。
 財務規則に基づく事務手続を行うとともに、期限内に支払が完了できるよう適正な事務処理を行われたい。


 「2年度予算で支出すべきところ」という表現からは、「納入」が2年度で、履行確認が3年度だったと想像はされるが、記載しない理由は不明である。

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【報告拝見】千葉県監査委員は不適切事務と不本意事象を報告している

 千葉県監査委員(監査基準準拠度B)が5月27日に提出した監査報告は、財務事務のほとんどが定例的処理となる学校などを監査した結果であるが、個別の監査結果としては16事案を報告している。このうち、6事案は「××について、令和 × 年×月末現在で××円と多額の収入未済が認められることから、所要の事務手続を着実に行い、早期解消に努めること。」という不本意事象の報告である。ほかに物損事故の発生という不本意事象を報告している。また、不適切事務としては、手当の支払遅延、予定価格を超過した単価契約、積算金額誤り2事案、前渡資金の精算事務の遅延、既往年度の調定誤り、個人情報記載書類の第三者交付を報告しているほか、次の2事案を報告している。

 船橋給水場 1 号配水池耐震補強工事等について、前回、前々回の監査に引き続き積算誤りが認められたこと、また、積算誤りによって契約を解除し、改めて入札手続を行う必要が生じた事例が認められたことから、今後は適正な事務手続を行うこと。


 前回の監査に引き続き、支出伝票の未起票により資金前渡口座の残高が不足し、予定していた支払いが遅延した事案が認められた。また、今回は同一年度に複数回認められたことから、今後はこのようなことが発生することのないよう、適正な事務手続を行うこと。

【報告拝見】「内部統制が機能せず、」との文言を使用している監査委員の例

 茨城県監査委員(監査基準準拠度B)は、3月24日付け監査報告の「第2 監査の結果」「2 監査の結果」における「監査の結果」の記載で、次のように「内部統制が機能せず、」という文言を使ったり、使っていなかったりしている。

 庁舎管理業務の委託に係る一般競争入札手続において、内部統制が機能せず、担当職員が入札参加業者1者に対し、入札期日前に予定価格を教示していたことは適切でない。


 土地改良事業に伴う水道管の移転補償において、内部統制が機能せず、課税事業者に対し消費税相当額を含めて補償を行ったことは適切でない。


 学習支援システムを用いて生徒に連絡事項を送信するにあたり、誤って個人情報が漏洩したことは適切でない。


 使っていない事案では「誤って」という文言を用いているところから、使っている事案では意図的に行っているという認識なのか、はたまた、組織として適切処理が実行可能だったはずという認定なのか、とも思うが、むしろ、不本意事象の報告では使わず、不適切行為の報告では使うということかもしれない。

【報告拝見】施設の目的外使用を推察している報告事例

 浜松市監査委員〔監査基準準拠度B〕は5月26日付けの監査報告で次のような興味深い報告を行っている。

浜松市春野福祉センターは、市民の福祉の向上と健康増進を図ることを目的に平成11年に設置された。当該施設は地下に浴室を併設し、管理運営は指定管理者が行っている。
当該施設の利用実態について、浜松市春野福祉センター条例では開館時間は午前9時から午後9時までと規定されているが、現在は、夜間の利用申込みがない場合は、指定管理者が市長の承認を得て、開館時間を午後5時30分までに短縮しており、これが常態化している。また、利用者の年齢・居住地などの属性等について調査はしていないものの、指定管理者は浴室利用者の9割以上が地域外からの行楽客と見ており、施設の設置目的とのかい離が推察される。
条例を所管する福祉総務課は、施設所管課である天竜区役所社会福祉課と連携し、施設の利用実態やニーズ等を把握・分析し、施設のあり方や設置目的について幅広く検討されたい。その上で開館時間や浴室の利用料金等について、条例改正を含めた検討を図られたい。また、当該施設は、気田川沿いに位置し、想定最大規模で7メートル以上の浸水が想定され、土砂災害警戒区域にも近接した立地となっていることから、検討に当たっては、利用者の実態を踏まえた中で施設の立地に伴うリスクも十分に考慮されたい。


 報告中「指定管理者は浴室利用者の9割以上が地域外からの行楽客と見ており」の認定根拠が気になるところではある。

【推奨事案】電子メール文書化で生じる統制逸脱リスクを指摘した事例

 北海道監査委員〔監査基準準拠度S-〕は5月11日付けの監査報告で次のような興味深い指摘を行っている。

 令和3年3月から、従前、押印を要するため書面のみの授受に限定していた契約等文書について、法令等により押印・書面によることが義務付けられている一部の文書等を除き、押印を省略し電子メールにて事業者から文書の受領ができることとされたが、この取扱いに際しての理解不足等に起因すると考えられる以下の事例がみられた。
ア 押印省略等に係る電子メールの利用に当たっては、事業者は札幌市競争入札参加資格(物品・役務)に登録されている見積依頼用メールアドレス、札幌市は組織用インターネットメールを用いることとなっているが、このアドレスを用いずに受領等行っていたもの
イ 押印省略等の取扱いを行った契約等文書について、供覧等を行う場合には次のいずれかの方法によるところであるが、これを行っていないもの
(ア ) 受領した契約等文書の余白に「見積用アドレスから受領。」と記入し、担当者の確認印を押印したうえで供覧等を行う
(イ ) 受領した契約等文書に電子メール本文を添付し供覧等を行う
 今後は、制度の趣旨を踏まえ、取組みについての理解を十分に深めたうえで正しい事務処理方法を再確認するとともに、情報共有体制及びチェック機能の強化を図り、同様の誤りを繰り返すことのないよう再発防止に努められたい。


 どこにリスクがあるかを意識して監査している姿勢がうかがえるし、何を指摘したかが分かり、再発防止に寄与する監査報告と評価できる。

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【報告範疇】浜松市監査委員は3E異状を報告する範疇を有しない

 浜松市監査委員は、監査委員事務局作成の「平成3年度版 監査のあらまし」で、定期監査の内容について次のように説明している。
会計年度ごとに次の事項を主眼に実施します。

【財務監査】市の財務に関する事務の執行及び経営が、適正かつ効率的に行われているか。
【学校監査】市の小・中学校の事務の執行及び経営管理等が、適正かつ効率的に行われているか。
【工事監査】市が施行する土木、建築工事等の計画設計及び施工が法令等に準拠し、適正かつ効率的に行われているか。


 そして監査の結果については、監査等実施状況の表の下に次のような説明を付している。

指摘(公表):法令・条例・規則・要綱等に違反しているもので、是正及び改善を要するものなど
指導(非公表):指摘には至らない比較的軽易と認められるものなど
意見(公表):執行機関に改善・検討などを促し、注意を喚起する必要があるものなど


 そして、令和4年2月18日付け監査報告では、「意見」について、「地方自治法第199条第10項の規定に基づき、監査の結果に関する報告に添えて、意見を次のとおり提出する。」としている。つまり、「監査の結果に関する報告」に記載するのは合規性の観点からの指摘(統制逸脱)だけで、3Eの観点からの指摘は監査結果としては記載しない方針のようである。
 実際にもこの監査報告に3Eの指摘(3E異状の報告)はない。また、「意見」として記載されている9件は、いずれも当局が対処中の課題又は取組中の方策について対処又は取組の充実を求めるもので3E異状の報告ではない。

監査報告が確定する前に当局が事案を公表している事例

 NHK奈良サイトが4月7日に掲出した「桜井市の2会社 雇用調整助成金など8200万円余を不正受給」は、奈良労働局が公表したこととして、夫婦でそれぞれ代表を務める桜井市の2つの会社が、うその申告をして、新型コロナウイルス対策の雇用に関する助成金あわせて8200万円余りを不正に受給していたと報じる。助成金を不正に受給していたとして公表されたのは、いずれも桜井市の会社で、居酒屋「千宝」を経営する会社と、この会社の代表の男性の妻が代表を務める奈良市の「奈良の森ホテル」などを経営する会社とのこと。奈良労働局によると、2つの会社は、新型コロナウイルスで事業に影響を受けた場合でも従業員の雇用を維持する際に支給される「雇用調整助成金」と「緊急雇用安定助成金」の申請にあたって、おととし4月から12月にかけて、実際には働いていた従業員を休んでいたことにしたり、実際には雇っていない人を従業員としていたりするなど、うその申告をして、あわせて8282万円余りを不正に受給したとの由。不正受給は会計検査院の調査がきっかけで発覚したということで、奈良労働局は去年11月付けで支給の決定を取り消し、事業者に対して返還を求めてきましたが、これまでのところ、あわせて365万円余りしか返還されていないとか。労働局は引き続き、残りの助成金の返還を求め、刑事告発も検討していると記事は伝える。

 会計検査院の調査により判明した事柄は、検査院が正式な意思決定を行うまでは公表されない。今回、当局が公表したのは、昨年12月に公表している「各種助成金において、不正受給が判明した場合は公表・返還請求を行っています!」という方針を掲げているためだろう。

財政援助等団体監査の結果が地元紙に報じられている

 神奈川新聞サイトが3月26日に掲出した「財政援助団体5団体に不適切事項 神奈川県監査委が指摘」は、神奈川県監査委員が25日、県から補助金などを受け取っている財政援助団体などの令和2年度の事務執行に対する監査結果を公表し、監査対象となった24団体のうち、法令違反や損害が生じるなどした不適切事項が指摘されたのは5団体5件と報じる。

【報告範疇】静岡市監査委員は3E異状を報告する範疇を用意している

 静岡市監査委員は「令和2年度版 監査のあらまし」(令和3年6月)で監査結果について次のように説明している。

指摘事項とは…法令、条例、規則等に違反している事項又は経済性、効率性、有効性の観点から改善を要する事項(地方自治法の規定に基づき監査結果で報告し、公表します。)
指導事項とは…指摘事項以外で、軽微な誤りと認められる事項


 そして、「令和2年度 定期監査結果報告書」では、報告範疇について次のように説明している。

①指摘事項
 法令、条例、規則等に違反している事項又は経済性、効率性若しくは有効性の観点から改善を要する事項など、指摘すべき事項として、地方自治法の規定に基づき監査結果報告書に記載し、公表するものである。
 なお、経済性、効率性及び有効性の意味は以下のとおりであり、これらを「3E」と総称する。
・経済性(Economy)・・・より少ない費用で実施できないか。
・効率性(Efficiency)・・・同じ費用で、より大きな効果は得られないか。
・有効性(Effectiveness)・・・目的を達成し、効果を上げているか。
② 指導事項
 上記①以外で、軽微な誤りと認められる事項等である。
③ 業務意見
 監査の結果に必然的に伴う、各業務に対する監査委員の意見である。


 上記の「業務意見」は監査結果として報告されるもので、監査報告に添付する地方自治法第199条第10項の合理化意見とは別なもので、合理化意見は「提言」と表現している。

Ⅱ 提言(地方自治法第199条第10項)
 監査委員が必要と認めるときに、本市の組織及び運営の合理化に資するため監査結果報 告に添える監査結果を踏まえた意見で、本年度は「戦略広報の更なる推進」について提言を行う。


 つまり、監査報告には監査結果として「指摘事項」と「業務意見」が記載されることになり、上記の説明によれば、3E異状を統制異状と同一範疇で報告する方針であるが、それは2センテンス以上の記載量を用意する場合のみ可能である。静岡市監査委員は「指摘事項」と「業務意見」を監査報告で丁寧に記載しているため、3E異状を「指摘事項」と報告できないこともないが、事案の性格の差異から、異なる範疇の「業務意見」がある以上、実務上は。統制異状を「指摘事項」として報告し、3E異状を「業務意見」として報告することになろう。現に、この監査報告では22件の「指摘事項」と14件の「業務意見」が報告されているが、「指摘事項」はいずれも正確性又は合規性の観点と整理されており、「業務意見」はいずれも効率性又は有効性の観点と整理されている。
 ちなみに、経済性の観点は、統制異状は合規性の観点に吸収され、3E異状は効率性の観点に吸収されやすいが、上記報告に経済性の観点がないのは、それを反映したものだろう。

【業務説明】山形県監査委員事務局は年報で監査基準を忘れていない

 山形県監査委員事務局が3月に「監査年報」として公式サイトで公表している「令和2年度対象定期監査結果について(令和2年11月~令和3年9月実施)」は、次のように冒頭で監査基準に言及している。

第1 監査の概要
 山形県監査委員監査基準(令和2年4月山形県監査委員訓令第1号。以下「監査基準」という。)に準拠し、及び定期監査実施要綱(平成10年4月監査委員決定。以下「実施要綱」という。)に基づき、次のとおり監査を実施した。


 この記載は前年では次のように記載されていて工夫を加えている。

第1 監査の概要
 地方自治法第199条第1項、第2項及び第4項の規定により、県の財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理並びに財務事務に関連する事務の執行についての監査(以下「監査」という。)を実施した。

【業務説明】北海道監査委員における監査基準の位置付け

 平成29年の地方自治法改正で、監査基準の制定・公開とそれに準拠した監査実施が監査委員に義務化された。
 北海道監査委員は1月28日に最終更新した「監査委員制度の沿革について」のページに「監査委員制度の沿革(昭和21年~平成29年)」のPDFのファイルを掲出して、29年法改正について説明している。
 しかし、そのファイルの下に「主な出来事は以下のとおりです。」について説明している記載は、平成9年6月に地方自治法の改正が最後になっていて、監査基準への言及がない。〔2022/4/11削除〕
〔以下2022/4/11追記〕
 そのファイルでは、「H29. 6. 9 地方自治法の改正」に項を設け、監査基準についても次のように説明している。

監査委員は監査基準に従うこととし、監査基準は、各地方公共団体の監査委員が定め、公表


 そして3月に北海道監査委員事務局が公表している「北海道の監査のあらまし」では、監査を実施した説明のくだりでは監査基準に言及しているが、「監査のしごと・役割について」「監査委員について」「監査委員事務局の主な事務分掌」には監査基準への言及はない。監査基準が独任制の例外であることの認識はないようである。

【鳥取県】監査計画を監査基準で触れていない

 鳥取県議会は鳥取県監査委員条例第12条で次のように定めている。

法令又はこの条例に定めるものを除くほか監査に関する事項は委員が別にこれを定める。


 これを踏まえ、鳥取県監査委員は鳥取県監査規程を定め、その第3条第1項で定常的な監査については、そ「の執行計画は、実施時期、実施箇所、方法等について、年度開始前に定めるものとする。」と定めている。したがって、総務省監査基準案が第7条で定めている監査計画については、鳥取県監査基準では触れておらず、思慮深く監査基準を策定していると評価できる。
 このため、1月13日付け「令和4年度監査等執行計画」でも、冒頭の文章は次のようになっている。

 鳥取県監査規程(昭和42年鳥取県監査委員告示第1号)第3条の規定に基づき、令和4年度に実施する監査(令和3年度内に実施する令和3年度決算に係る定期監査を含む。)、検査及び審査(以下「監査等」という。)の執行計画を次のとおり定める。

【報告拝見】長野県監査委員は定例的監査でテーマ監査

 長野県監査委員の令和3年11月18日付「令和3年度 定期監査の結果に関する報告」を拝見すると、「第1 監査の概要」中に「5 重点監査(テーマ別監査)」として次を記載している。

 テーマを「使用していないパーソナルコンピュータの所有及び廃棄状況について」及び「ドローンの活用状況について」の二つとし実施しました。


 そして「第2 監査結果」は「1 監査結果」、「2 指摘事項」、「3 指導事項」、「4 検討事項」、「5 分類別指摘事項等の件数」で構成されているが、ページ数では「1」が過半を占めている。その「1」は、「(1) 総括」、「(2)重点監査(テーマ別監査)」で構成されていて、ページ数のほとんどは「(2)」が占めている。そして「(1)」は「2」~「4」で記載していることの総括となっていて、そこには「(2)」に関係するものはない。つまり、定常的監査の監査結果の記載にテーマ監査が割り込んだ状態となっている。しかも、テーマ監査については、監査結果だけではなく、「ア 監査目的」、「イ 対象機関」、「ウ 実施方法」、「エ 監査の視点(主な着眼点)」、「オ 調査結果」、「カ 監査結果」、「キ 意見」で構成されているため、ページ数も多くなっている。ちなみに、内容は3E監査であり、定期的監査で3E監査を行っていると評価することもできよう。
 特筆すべきは、報告書末尾に「≪参考≫ 他の機関に紹介できる有効な取組事例」として次を記載し、再発防止の取組を紹介していることである。

 他の機関に紹介できる有効な取組事例について紹介しますので、各機関の状況により、必要に応じて活用を図ってください。



上田市監査委員の監査結果が地元紙で報じられている

 信濃毎日新聞が12月25日に掲出した「「上田道と川の駅交流センター」 集会施設として利用できず 市監査委員が是正求める」は、上田市監査委員が本年度、同市小泉の「上田道と川の駅交流センター」を監査し、集会施設として利用できない状態が市の条例に抵触するとして、市に是正を求めていると報じる。記事は、これまでも市議会から同様の指摘をされていたが、市は対応していなかったとも伝えている。

 記事が伝える監査委員の動きは、上田市監査委員が11月29日付けで公表している「令和3年度 財政援助団体等監査結果」に記載されている。記事が「求めている」と表現しているのは、この監査報告に、「上田道と川の駅交流センター、上田市半過公園」の指定管理者の監査結果のうち「上田道と川の駅交流センター」の監査結果として記載されている8項目のうち次の2項目と思われる。

(4) 多目的室の配置変更に関すること
 上田道と川の駅交流センター条例で利用できる施設として、当初集会施設として建設された東側建物にある多目的室ABの利用料金が記されていますが、平成30年3月に壁が撤去されて物販所に変更され、西側建物に多目的室を配置替えした経過がありました。現地調査では変更後の多目的室ABは部屋として仕切られておらず貸出しは不可能な状態でした。
 東側建物は建築基準法上、集会施設から物販施設への用途変更が必要です。
(5) 簡易ハウス、東側建物増築部分の設置に関すること
 西側建物の隣に指定管理者所有の簡易ハウスが行政財産目的外使用許可により設置されており、これを多目的室として利用者に貸し出している実態です。条例は改正されていないので、多目的室の貸出と使用料金は根拠がない状況です。
 また、東側建物正面には建築確認許可申請のない増築された建造物があります。これら建物は建築基準法に抵触すると思われる状態です。


 監査報告には「9 監査の意見」として4項目が記載されているが、上の監査結果に関係するのは次の3項目であろう。

(2) 法令の遵守について(交通政策課)
 上田道と川の駅の指定管理部分は当初「集会施設」として建設されましたが、飲食物販施設への要望が強く寄せられたことから、内部協議を経たうえで既存の建物の利用区分変更により集会施設を物販施設に改修したり、簡易ハウスを多目的室として貸し出しています。また、東側建物正面を一部増築して物販スペースとしていますが、これらについては建築基準法上の申請や変更届が不備であり、法令や条例に抵触するとうかがわれます。
 簡易ハウスや増築部分を建築基準法上の各規程に適合するよう是正し、簡易ハウスを多目的室として貸し出していることに対する面積や形状変更に伴う使用料の再検討、簡易ハウスの行政財産化等、法令や条例と現状を合わせる必要性があります。早急に対応すべきと考えます。
(3) 施設運営の協力体制について(交通政策課)
 上田道と川の駅交流センターは物販(農産物)、観光、公園、グラウンド、防災といった多くの機能を持つ施設であることから、市の関係課も多数に及びます。所管課も農政部農政課をはじめ過去何度も変わってきた経過もあり、現在所管の交通政策課単独では解決できない問題は多々であると思われます。「上田道と川の駅パートナーズ会議」等を通じて各関係課と連携を強化し、所管課の見直しも含め、協力して取り組むよう求めます。
(4) 上田道と川の駅のあり方について(交通政策課)
 上田道と川の駅は、当初、集会施設として計画されたところ、地域から物販施設の強い要望を受けて現状の施設の中で物販を行っている状況であり、手狭であることを踏まえ、令和3年度実施計画第3編第1章「次代へつなぐ農林水産業の振興」の中で「上田道と川の駅の農産物直売所建設事業」が項目計上されており、農産物直売所の機能拡大が図られるものと思われます。
 道と川の駅交流センターの「訪れる人々との交流を促進し、地域の活性化を図る」という本来の目的が達せられるよう、指定管理者や自治会等地元関係者、市関係各課と今後の農産物直売所を含めた施設のあり方については十分な協議のうえ、地域住民はもとより利用者等誰もが好感が持てる持続可能な施設に育てていってほしいと望みます。
 道と川の駅は国、県、市の行政財産が混在するエリア特性であり、それを官と民が効率運用することにより公共財産の利用価値が増加します。難しい課題であるからこそ全部局、議会が相互補完し早期に検証し完了させてください。


 監査報告としてはよくできていると評価できよう。もっとも、その監査基準総務省監査基準案をそのまま採用しているようで、多くの監査委員がそうであるように第16条第2項及び第3項で規定する監査結果しての認否は記載していない。おそらく監査委員に公認会計士は就任していないのだろう。

【報告範疇】新潟市監査委員は3E異状を報告できる範疇を用意していない

 新潟市監査委員事務局は「令和2(2020)年度 監査の概要」の「Ⅰ 監査の概要」「5.監査結果の処理」で、「監査により検出された事項は、概ね以下の 6 つの処理区分に整理します。」として次の6区分を示し、「このうち「勧告」、「指摘事項」、「意見」に該当する事項については、監査結果を公表し措置を求めます。」としている。

① 勧 告 指摘事項に該当する事項のうち、特に措置を講ずる必要があると認める場合、又は監査結果で指摘事項として報告したものについて、特に措置を講ずる必要があると認めるもの(地自法199Ⅺ)
② 指摘事項  法令等に違反し、又は不当と認められるもので、その程度が著しい又は重大であり、是正若しくは改善を求めるもの(地自法 199Ⅸ)
③ 注意事項  法令等に違反し、又は不当と認められるもので、是正若しくは改善を求める事項及びその他特に注意すべきもの
④ 指導事項  法令等に違反し、又は不当と認められるもので、是正若しくは改善を求める事項のうち軽易なもの及びその他特に指導すべきもの
⑤ 現状確認  検出事項のうち、その後の進捗や結果について次回監査で確認するもの
⑥ 意 見  組織及び運営の合理化に資するために示す見解で、監査委員の見解として公表するもの(地自法 199Ⅹ)


 3E異状を報告できる範疇としては「現状確認」があるが、これは監査報告に記載する取扱いとはなっていない。したがって、新潟市監査委員は3E異状を報告できる範疇がないと評価できる。
 直近の監査報告でも、3E異状(公的資源活用不足)は報告されていない。

「会計監査の在り方に関する懇談会(令和3事務年度)」 論点整理

 金融庁は、11月12日に「会計監査の在り方に関する懇談会(令和3事務年度)」の論点整理を公表した。
 興味深いのは次の点。

 現在、上場会社の監査を行う監査事務所は、日本公認会計士協会が自主規制として運用している上場会社監査事務所登録制度に基づいて、日本公認会計士協会の登録を受けることが求められている。
 中小監査事務所を含む上場会社の監査の担い手全体の監査品質の向上が急務となっている中、この登録制度について、2016 年提言で「監査法人等が上場企業を監査するのに十分な能力・態勢を有していることが担保されるよう、厳格な運用に努めるべきである」とされていたことも踏まえ、より高品質な監査の実現に向けた取組みを検討すべきである。

 ふむふむ。

‥‥、国際会計士倫理基準審議会(IESBA)の倫理規程を踏まえ、日本公認会計士協会において倫理規則の改訂に向けた作業が行われている。改訂内容の1つとして、社会的影響度の高い事業体(PIE)9の監査について、報酬依存度(監査事務所の総収入のうち、特定の企業からの報酬の占める割合)が5年連続で 15%を超えた場合には、原則として監査人を辞任しなければならないこととする新たなルールの導入が検討されている。

 なお、監査法人の独立性の確保を徹底する観点から監査法人自体を一定期間ごとに交代させる「ローテーション制度」の導入については、上記のとおり、日本公認会計士協会において、報酬依存度に基づく新たなルールの導入等を内容とする倫理規則の改訂に向けた作業が行われていることを踏まえ、このルールが監査人の交代に与える影響も見極めながら、引き続き検討されるべきである。

 どうも、ローテーション制度の導入については反対が強いようだ。

 2016 年提言においては、過去の不正会計事案の反省を踏まえ、企業不正を見抜く能力と、不正の端緒を発見した際に経営者等と対峙して臆することなく意見を述べることができる気概を有する公認会計士を、どう育成し、確保するかが課題とされている。この課題認識は、監査を取り巻く環境の変化に伴い、一層重要性を増している。


 むしろ、粉飾を見抜いた監査人に対して報奨金を与えるファンドを協会に設けるべきだろう。

【報告拝見】神奈川県監査委員が納税者への通知文書から不要のものを摘出

 神奈川県監査委員の10月12日付け報告書に、他県でもありそうという意味で興味深い指摘が掲載されている。「自動車税種別割の賦課徴収事務における納付済通知書及び納税証明書の送付に関する件」と題された要改善事項で、:結論は次のとおり。

 したがって、自動車税種別割の賦課徴収に係る経費を削減するとともに、業務効率の向上に資するため、口座振替により自動車税種別割を納付した納税者に対する納付済通知書等の送付を取りやめるよう改善する必要がある。


 根拠としているのは次のように整理できる。
・口座振替で納付した場合、納税者は預貯金通帳への記帳により納付済みの確認をすることができることから、領収証書を兼ねた納付済通知書を送付する特段の必要性は認められない。
・個人事業税については、同様な理由により、平成 30 年4月から口座振替により納付した際の納付済通知書の送付を取りやめている。
・自動車の車検を受ける際の納税証明については、平成 27 年4月から、国土交通省と都道府県のシステムを連携させることにより、自動車税種別割の納税確認が電子化され、車検を受ける際の納税証明書の提示を省略できることとなっている。
・ペイジー又はスマートフォンアプリを利用して納付した場合やクレジットカードで納付した場合には領収証書及び納税証明書の送付は行われていない。
 よく気が付いたものだし、よく指摘にいたったものだ。

【報告範疇】相模原市監査委員は3E報告可能な範疇はある。

 相模原市監査委員の定例的監査の監査報告には、報告範疇として「指摘事項」、「注意事項」、「検討すべき事項」という表現が見受けられるが、その意味を記載した文書はサイト上では確認できなかった。報告例からすると、3E異状を「検討すべき事項」として報告することは可能であろう。しかし、報告事例は確認できなかった。
 ちなみに、相模原監査委員は財務監査と並行して行政監査を行っているが、これはテーマを定めて点検していくもので、課題実状点検活動といえる。

令和2年度決算検査報告の総理手交の説明ページ

 会計検査院サイトは11月5日に「令和2年度決算検査報告の総理手交」をトップページに掲出した。そのリンク先は「最新の検査報告」ページ。そのページの構成は例年通りで、前年のページへのリンクも張られている。リンクをたどっていくと、一昨年は資料として「平成30年度決算検査報告の特色」「平成30年度決算検査報告の概要」だったのが、昨年は「令和元年度決算検査報告の概要」と「令和元年度決算検査報告の特徴的な案件」であり、今年も「令和2年度決算検査報告の概要」「令和2年度決算検査報告の特徴的な案件」となっている。ただ、その「特徴的な案件」は昨年と異なり、プレゼンテーションソフトで作成した感じの資料となっている
 また、昨年は一昨年と比べて次の段落が追加されていたが、

 森田会計検査院長が令和元年度決算検査報告について紹介する動画を会計検査院公式フェイスブックに掲載しておりますのでご覧ください(会計検査院公式フェイスブックにリンクします。)。


その段落が今年は次のようになっている。

 森田会計検査院長が令和2年度決算検査報告について紹介する動画を会計検査院公式YouTubeチャンネルに投稿しておりますのでご覧ください(会計検査院公式YouTubeチャンネルにリンクします。)。


 変化を厭わない姿勢は好感が持てる。

【報告範疇】川崎市監査委員は報告範疇を用意していない

 川崎市監査委員は、「監査等の結果に関する報告等への記載事項」について定めている監査基準第17条で第4項を次のように規定している。

 監査委員は、是正又は改善が必要である事項が認められる場合、その内容を監査等の結果に記載するとともに、必要に応じて、監査等の過程で明らかとなった当該事項の原因等を記載するよう努めるものとする。


 3月25日付け監査報告では、「7 監査の結果」の冒頭で次のように記載している。

 川崎市監査基準(令和2年監査訓令第1号)に準拠し、前述のとおり監査した限りにおいて、おおむね適正に執行されているものと認められたが、次のとおり改善措置を要する事項があった。


 この記載が「是正が必要である事項」はなかったとの意味なのかどうかは判然としないが、是正が必要なはずの不納欠損処分を怠っている事案も報告されているところから、監査基準でいう「是正又は改善が必要である事項」を監査報告では「改善が必要である事項」と言い換えていると理解せざるを得ない。ちなみに、監査基準制定前の平成31年3月25日付け監査報告では次のように記載していた。

 監査の結果、おおむね適正に執行されているものと認められたが、次のとおり改善措置を要する事項があった。


 いずれにせよ、川崎市監査委員は異状報告の範疇を明確にしておらず、3E報告をする範疇も用意していないようだ。もっとも、異状報告の記載は丁寧であり、3E報告は可能であろう。ただ、上記の監査報告には記載がない。

【報告拝見】熊本県監査委員が改善の方向が読み取れない指摘

 熊本県監査委員が改善の方向が読み取れない指摘をしている。熊本県監査委員が9月24日付けで公表した監査報告には「指摘事項」として次の事案が記載されている。

(国への事業報告誤りに伴う年度更正について)
 事業実施に伴う事務において、次の課題がある。
(1) 国への事業精算報告に誤りがある。
(2) 支払い後に、国への事業精算報告に事務処理を合致させる手段として財務システムの機能を使用し、年度更正処理を行っている。
 精算報告の際には、組織的なチェックの強化により再発防止に努め、熊本県会計規則等の規定に基づき適正な事務処理を行うこと。


 どうも、国へ事業精算報告をする際に事実と異なった記載をしており、事実を記載した財務記録を精算報告と整合するよう改ざんしていることを指摘しているようだ。年度更正処理を点検していて発掘した事案と思うが、どう改善させようとしているかが分からない。おそらく、事実と相違した年度更正処理を指摘しようとしたが、それは事業精算報告の修正につながり、補助金等の返納につながるので修復困難であるという説明があり、それを受けて「課題」という表現にとどめたのだろう。そうであるなら、「精算報告の際には、組織的なチェックの強化により再発防止に努め」は、「事業実施に当たっては、年度内に完了するよう留意し」となるところ、それではまずいという判断があったのではなかろうか。いずれにせよ、いろいろと想像が膨らんでくる案件である。
 この「指摘事項」概念について、熊本県監査委員は、この監査報告で次のように説明している。

「指摘事項」とは、以下のような事柄に該当し、改善が必要とされる課題である。
(1) 法令、条例、規則又は通知・通達に違反し、事務の執行が不適正となっているもの
(2) 未収金解消対策が的確に講じられていないもの
(3) 予算の執行又は財産管理等において、適正を欠くもの
(4) 故意又は重大な過失により、不経済や損害を生じさせたもの
(5) 経済性、有効性又は効率性が著しく低いもの
(6) 事務・事業の執行に当たり、是正又は改善が必要であると認められるもの
(7) 前年度監査において注意事項とされていた事項で是正又は改善がされていないもの


 「改善が必要とされる課題」と定義していて、「是正」概念がないのは不思議である。第7項目では「改善」と「是正」を並列させているので、「改善」が「是正」を包含しているわけでもないようだ。ちなみに、その「注意事項」は監査報告には記載しないものの、同時に公表しており、その公表文では、「注意事項」を「注意事項とは、監査結果のうち指摘事項には至らないが、早期の是正措置を促す必要があるものです。」と説明している。

【報告範疇】熊本市監査委員は報告範疇はあるが、定期監査を財務監査に限定している

 熊本市監査委員の「令和 2 年度(2020 年度)監査報告書」には、報告範疇として、「指摘事項」と「意見」という記載があるが、その説明はない。
 内容的には、「指摘事項」は統制逸脱、「意見」は統制不備である。個々の報告は長文であることから3E異状を「意見」として報告できる可能性はあるが、2項監査を行なうこととしていないため、困難が予想される。

【古いメモ】県の外郭団体監事に議員OBが就任する慣行が昔はあった

 共同が2003年5月23日に配信した「引退県議7人が“天下り” 愛知県関係団体の監事に」によると、統一地方選を機に引退した愛知県議7人が、同県中小企業振興公社など県関係の7団体の監事に就任する見通しという。県人事課によると、県議の“天下り”は1985年に県スポーツ振興事業団が迎え入れたのが最初で、最近では各団体で慣例化しているとのこと。監事に就任するのは、会派別に自民5人、民主、公明各1人。いずれも当選3回から8回の元県議で、各団体の理事会で認められれば6月1日付で就任するという。県は各団体から元県議の紹介要請を受け、県議会各会派と調整した上で人選するとの由。記事によると、監事は各団体とも決算などを扱う会計監査を担当し、非常勤で週3回程度出勤し、報酬は月額31万5千円。任期は2年で、再任される場合もあるとのこと。団体ごとに2人程度の監事がおり、うち一人が県議OBという例が多く、名古屋市でも都市整備公社などに市議OBがいた例があるという。県人事課は「どの人も県議として長年県政にかかわり、深い知識がある。各団体の運営に知識を役立ててもらいたいと考えた」と話していると記事は伝えている。

 さすがに、この慣行は廃止されているようだ。

【報告範疇】北九州市監査委員は報告範疇はないが長文で3E報告可能で実績あり

 北九州市監査委員は7月30日付け監査報告の「4 監査の結果」「(2)子ども家庭局」「イ その他事務」「(ア)効果的な事業の執行について(子育て支援課)」で、次のように3E異状を報告している。

 放課後児童クラブ消防設備保守点検業務委託は、放課後児童クラブで使用する市有建築物において、年2回の消防用設備等の法定点検及び保守を行うものである。令和元年度の当該事業において、対象となる85施設で、同じ消防用設備機器点検を令和元年12月から令和2年3月までの短期間で2回実施しており、効果的な事業運営となっていなかった。
 消防法では、消防用設備等について、消火、避難その他の消防の活動のために必要とされる性能を有するように、設置し、維持しなければならず、定期に点検しなければならないとされている。また、同法施行規則及び消防庁告示により、消防用設備等の点検の期間は6月とされている。
 事業の有効性と経済性の観点から、消防用設備等の点検周期の見直しを検討し、より適切な施設維持管理に努められたい。


 惜しむらくは、どうしてそのような慣行になっていたのか背景が記載されていない。

【業務説明】浜松市監査委員はパンフレットで監査基準に言及している

 浜松市監査委員サイトに「浜松市の監査についてわかりやすくまとめたものです。ぜひご覧ください!」として掲出されている「令和3年度版 監査のあらまし」(浜松市監査委員事務局)は、{1 監査の目的」「2 監査等の種類とその概要」「3 監査の効果」「4 監査体制」「5 令和2年度の監査等実施状況」「6 各監査等の主な事例」で構成されているが、監査基準には「2 監査等の種類とその概要」の冒頭で次のように触れている。

  「浜松市監査基準」に準拠した監査委員による監査等を通じて、適正かつ効率的な行財政運営が行われるとともに、行政の透明性確保と市民への説明責任が果たされるよう、市民の視点で市政運営の監視、評価及び指導を行っています。


 この箇所は、令和2年度版でも次のように記述していた。

 監査委員による浜松市監査基準(令和2年4月1日全部改正)に準拠した監査を通じて、適正かつ効率的な行財政運営が行われ、行政の透明性確保と市民への説明責任が果たされるよう、市民の視点で市政運営の監視、評価及び指導を行っています。


 ちなみに、基準制定前の令和元年度版では次のように記述していた。

 監査委員による監査を通じて、適正かつ効率的な行財政運営が行われ、行政の透明性確保と市民への説明責任が果たされるよう、市民の視点で市政運営の監視、評価及び指導を行っています。


 毎回、見直しを行なっていて好感が持てる。
 なお、このときの「1 監査の目的」の記載は次のとおり。

 監査は、市の財務に関する事務の執行や経営に係る事業の管理等について、下記のチェックポイントを視点として行います。市政運営の監視、評価及び指導を行うことで、市の行財政の適正な運営に資することを目的としています。


 そして、3年度版の記載は次のとおりで元年度版のままである。

 監査は、市の財務に関する事務の執行や経営に係る事業の管理等について、下記のチェックポイントを視点として行います。市政運営の監視、評価及び指導を行うことで、市の行財政の適正な運営に資することを目的としています。


 残念ながら、浜松市監査基準で「監査委員が行うこととされている監査、検査、審査その他の行為の目的」を標題とする第2条第1項で次のように表現していることとは微妙にずれている。

 監査委員が行うこととされている監査、検査、審査その他の行為は、市の事務の管理及び執行等について、法令に適合し、正確で、経済的、効率的かつ効果的な実施を確保し、住民の福祉の増進に資することを目的とする。

新潟県監査委員は部局長との意見交換を行なってから決算審査意見を決定する

 新潟県監査委員は9月13日に「監査委員と部局長との意見交換を行いました。(令和3年8月25日~9月9日)」の記事を公式サイトの「監査委員事務局のトピックス(令和3年度)」ページに画像付きで掲出している。記事の内容は次のとおり。

 8月25日から9月9日までの日程で、令和2年度の事業執行や施策課題等について、各部局の部局長と意見交換を行いました。
 今後、この意見交換の結果や定期監査の結果等を踏まえて、令和2年度普通会計決算等意見書を作成し、知事に提出することとなります。


 つまり、これは定期監査とは別に行なうもので、審査の一環と理解して良さそうだ。ただ、審査活動は書類に対して行なうもの、という理解から、審査の一環とは表現していないのだと理解できる。ただ、企業会計については行ったという記事は掲出されていないし、そもそも監査基準でも位置付けられていない。

【業務説明】神奈川県監査委員は業務説明に監査基準を盛り込み損ねた

 神奈川県監査委員は、8月に掲出した「令和2年かながわの監査」で、「監査のしくみ」の構成を前年と同じにしていて、監査基準の説明を盛り込み損ねている。

【報告範疇】横浜市監査委員は3E異状を報告できる範疇を有している

 横浜市監査委員は、令和2年度監査報告書で、監査結果を「指摘事項」と「意見」に分類している。その「指摘事項」については、「法令等に違反する事項又は不当な事項であり、改善が必要なもの、又は経済性、効率性及び有効性の観点から改善が必要なもの」とし、「意見」は「監査委員が指摘事項等を踏まえ改善に向けて付す見解、又は監査の対象範囲にかかわらず組織及び運営の合理化に向けて付す見解」としている。つまり、3E異状は「指摘事項」又は「意見」として報告するとしている。
 しかし、報告されている「指摘事項」は統制逸脱、「意見」は統制不備であり、3E異状の報告は見受けられなかった。「指摘事項」は、当為と事績を対比させた2センテンス構成であったが、「意見」と長文であり、3E異状の報告は可能であろう。
 なお、「第2 監査の結果等」「1 財務監査」「(1) 経理事務関係」の「カ 内部統制」では、事務処理ミスの発生についてヒアリングなどで調査して結果を報告した上で「意見」を記載していることは好感が持てる。

新潟県監査委員の職歴

 公式サイトで監査委員の職歴を示しているところは少ないが、新潟県監査委員は職歴を示している。それに拠ると、4人の監査委員のうち二人は議選委員、識見委員二人は「元新潟日報社執行役員長岡支社長」と「元新潟県病院事業管理者」。マスメディアと県OBという慣行があるのかもしれない。

金融庁が大手町の監査法人を1か月業務停止に処分

 金融庁サイトは8月6日に「監査法人の処分について」を掲出し、千代田区大手町の監査法人原会計事務所に対して、公認会計士法第34条の21第2項に基づき業務停止1月(令和3年9月1日から9月30日まで)の処分を同日付けで行ったと発表した。

公認会計士法(昭和23年法律第103号)第34条の21第2項
 内閣総理大臣は、監査法人が次の各号のいずれかに該当するときは、その監査法人に対し、戒告し、第三十四条の十三第一項に規定する業務管理体制の改善を命じ、二年以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は解散を命ずることができる。
一 社員の故意により、虚偽、錯誤又は脱漏のある財務書類を虚偽、錯誤及び脱漏のないものとして証明したとき。
二 社員が相当の注意を怠つたことにより、重大な虚偽、錯誤又は脱漏のある財務書類を重大な虚偽、錯誤及び脱漏のないものとして証明したとき。
三 この法律若しくはこの法律に基づく命令に違反し、又は運営が著しく不当と認められるとき。
四 前項の規定による指示に従わないとき。


 処分理由は次のとおりで、特に粉飾を看過してということではなく、癒着が問題のようだ。

 当監査法人の運営が著しく不当なものと認められたとして、令和3年2月26日、金融庁は公認会計士・監査審査会(…)から行政処分勧告を受け、調査を行った結果、下記ア.からウ.までに記載する事実が認められ、当該事実は公認会計士法(…)(…)第34条の11第1項に規定する「利害関係規定違反」及び同法第34条の21第2項第3号に規定する「運営が著しく不当と認められるとき」に該当する。


 ちなみに、「利害関係規定違反」は次のとおり。

第34条の11第1項 監査法人は、財務書類のうち、次の各号のいずれかに該当するものについては、第二条第一項の業務を行つてはならない。
一 監査法人が株式を所有し、又は出資している会社その他の者の財務書類
二 監査法人の社員のうちに会社その他の者と第二十四条第一項第一号に規定する関係を有する者がある場合における当該会社その他の者の財務書類
三 会社その他の者の財務書類について監査法人の行う第二条第一項の業務にその社員として関与した者が、当該財務書類に係る会計期間又はその翌会計期間(以下この号において「関与社員会計期間」という。)内に当該会社その他の者又はその連結会社等の役員又はこれに準ずる者となつた場合における当該関与社員会計期間に係る当該会社その他の者又はその連結会社等の財務書類
四 前三号に定めるもののほか、監査法人が著しい利害関係を有する会社その他の者の財務書類


 日経サイトが5月17日に掲出した「信越ポリマー、監査法人をEY新日本に交代」は、東証一部上場の信越ポリマーが17日、監査法人を中堅の原会計事務所から交代すると発表したと報じている。記事によると、公認会計士・監査審査会が2月、同監査法人の一部企業への報酬依存度の高さなどを問題視し、金融庁に行政処分などを勧告したことに対応したもので、新たにEY新日本監査法人を選んだとのこと。公認会計士・監査審査会は原会計事務所について「倫理規則に違反する『特別監査報酬』の受領や『贈答』を行っていること」なども不適切だと指摘していたと記事は伝える。

山梨県監査委員が監査のペーパーレス化に向けた試行の検証結果を掲出している

 山梨県監査委員サイトの「ようこそ監査委員のホームページへ」と題されたページは、「お知らせ」という標題の下に次の項目が置かれている。階層構造が明確でないが、内容的にはこの三つを最上位階層として想定していると思われる。

監査結果を公表しました。
決算審査等意見書を知事に提出しました。
監査委員による監査のペーパーレス化に向けた試行を開始しました。


 そして、最後の項目の下に次の記述がある。

監査委員による監査のペーパーレス化に向けた試行の検証結果を作成しました。
・10月14日から監査のペーパーレス化に向けた取組の試行を開始しましたが、令和2年度の定例監査の日程がすべて終了しましたので、その効果について検証をしました。
監査のペーパーレス化に向けた試行の検証結果について(PDF:122KB)


 サイトに掲載したのはグッドジョブだが、サイト設計の変更まで行かなかったのは残念。

【報告範疇】千葉市監査委員は3E異状を報告する範疇を有し、報告事例もある

 千葉市監査委員は3月31日付け定期監査報告で、次のように述べている。

 なお、以下において「指摘」とは、不適切な事案に対し、是正、改善等の措置を求めるもの、「意見」とは、事案に対する見解を示したものである。


 すなわち不適切でない事案についても「意見」として報告する姿勢を示している。興味深いのは、「事案」「問題点」「指摘」と3項目で報告していること。中には、これに、次のように「意見」を追加して4項目としている例もある。

エ 物品の管理を適正に行うべきもの(中央区役所)
(ア)事案及び問題点
 現地調査において、物品の管理状況を抽出して確認したところ、9点(うち重要物品4点)のうち3点(うち重要物品1点)が確認できず、また、2点が廃棄処分されているにもかかわらず、引き続き備品明細一覧表に記録されていた。
 なお、確認ができなかった物品のうち、重要物品については、監査期間中に確認することができた。
(イ)原因
 物品会計規則に基づき、会計室から年2回、備品の確認を求められているが、 確認が十分に行われていなかった。
 また、中央区役所は、令和元年度に移転しており、移転時の物品管理が不十分であったと考えられる。
(ウ)指摘
 物品の管理については、規則等に基づき適正に行われたい。
(エ)意見
 本市においては、令和4年度末から新庁舎への移転が予定されていることから、移転時に物品の紛失等が生じることのないよう物品管理に万全を期すことを要望する。


 これなどは、「意見」として別記する意味は不明であるが、次のような「意見」も報告している。

ア 負担金支出の必要性について検証が求められるもの(経済農政局)
(ア)事案
 負担金の支出が長期化しているものについては、どの程度有益な効果が得られるのかなどの十分な検証が行われているか疑問視されるものが見受けられた。
(イ)原因
 負担金等を最初に支出する段階では、その必要性を十分検証した上で予算化し、支出しているところである。しかし、負担金等は、毎年度、定期的に支出する場合が多く、その後、継続して支出する段階では、どの程度有益な効果が得られるのかなどの十分な検証がされないまま、支出が長期化してしまう場合がある。
(ウ)意見
 各種団体等に負担金等を支出するに当たっては、どのような点で市施策に貢献するのか、当該団体でなければ期待する事業効果を得られないのかなど、定期的にその必要性を検証することが必要と考える。
【該当例】一般社団法人千葉農林水産統計協会会費(経済農政局)


 これなどは、事案の説明が具体性を欠いているものの3E報告とみて良いだろう。
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